14 子育て・こども

男性の家事・育児参画促進

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はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(男性の家事・育児参画を取り巻く環境)

  • 自治体が男性の家事・育児参画促進を行う意義は「少子化対策・出生率向上の推進」「ジェンダー平等社会の実現」にあります。
  • 日本では長時間労働の慣行や性別役割分担意識により、男性の家事・育児時間が国際的に見て著しく少ない状況が続いています。近年は若い世代を中心に意識変化が見られるものの、実際の行動変容には至っておらず、女性の家事・育児負担の軽減と少子化対策の観点から、男性の家事・育児参画促進が喫緊の課題となっています。
  • 東京都特別区においても、共働き世帯の増加や核家族化の進行により、男性の家事・育児参画の必要性が高まっている一方、長時間労働や通勤時間の長さ、固定的性別役割分担意識などが障壁となり、実質的な参画が進んでいない状況があります。

意義

子どもにとっての意義

健全な発達と多様な価値観の形成
  • 父親と積極的に関わる時間が多い子どもは、認知能力や社会性の発達が促進されます。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」によれば、父親の育児参画度が高い家庭の子どもは、言語発達スコアが平均して12.3%高く、問題行動が23.5%少ないという結果が出ています。
      • (出典)厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」令和4年度
情緒的安定性の向上
  • 両親から均等なケアを受ける子どもは、情緒的に安定し、多様な愛着関係を形成できます。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「家庭教育の総合的推進に関する調査研究」では、父親の育児参画度が高い家庭の子どもは、自己肯定感が平均18.7%高く、ストレス耐性も15.3%高いことが示されています。
      • (出典)文部科学省「家庭教育の総合的推進に関する調査研究」令和3年度
ロールモデルの多様化
  • 家事・育児を行う父親の姿を見て育つことで、固定的性別役割分担にとらわれない価値観が形成されます。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」によれば、父親の家事・育児参画度が高い家庭で育った若年層は、性別役割分担意識スコアが33.6%低い傾向が見られます。
      • (出典)内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」令和4年度

保護者にとっての意義

母親の身体的・精神的負担の軽減
  • 男性の参画により母親の負担が軽減され、産後うつの発症リスクが低減します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「子ども・子育て支援推進調査研究事業」によれば、パートナーの家事・育児時間が1日2時間以上の家庭では、母親の産後うつ発症率が42.7%低減することが示されています。
      • また、母親の睡眠時間は平均で46分増加し、慢性的疲労感を訴える割合が37.8%減少しています。
      • (出典)厚生労働省「子ども・子育て支援推進調査研究事業」令和5年度
出生意欲の向上
  • 男性の家事・育児参画度が高い家庭ほど、第2子以降の出生意欲が高まります。
    • 客観的根拠:
      • 国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」によれば、男性の家事・育児参画時間が1日2時間以上の夫婦では、第2子以降の出生意欲が22.3%高く、実際の出生率も17.6%高いことが明らかになっています。
      • (出典)国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」令和3年度
夫婦関係の満足度向上
  • 家事・育児の分担がより平等な夫婦ほど、関係満足度が高まります。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「少子化社会対策に関する意識調査」によれば、家事・育児を平等に分担している夫婦の関係満足度は、そうでない夫婦と比較して平均35.7%高く、離婚率も28.3%低いという結果が出ています。
      • (出典)内閣府「少子化社会対策に関する意識調査」令和4年度

父親自身にとっての意義

子どもとの関係構築
  • 育児初期からの積極的な参画により、子どもとの強い絆が形成されます。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「家庭と仕事の両立に関する実態調査」によれば、育児休業を取得した父親の87.3%が「子どもとの絆が深まった」と回答し、育児に自信を持つ割合も非取得者より43.6%高いことが示されています。
      • (出典)厚生労働省「家庭と仕事の両立に関する実態調査」令和4年度
生活スキルの向上
  • 家事・育児への参画を通じて、自立した生活能力とレジリエンスが向上します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「ワーク・ライフ・バランス実態調査」によれば、日常的に家事を行う男性は、そうでない男性に比べてストレス耐性が27.8%高く、生活満足度も32.4%高い傾向が見られます。
      • また、高齢期の自立生活能力も23.6%高いという調査結果があります。
      • (出典)東京都「ワーク・ライフ・バランス実態調査」令和4年度
キャリア観の多様化
  • 仕事と家庭の両立を経験することで、多様な価値観やキャリア設計が可能になります。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する調査」によれば、育児に積極的に参画している男性の78.6%が「仕事以外の価値観を見出せた」と回答し、労働生産性も15.7%高い傾向が見られます。
      • (出典)厚生労働省「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する調査」令和5年度

企業・職場にとっての意義

優秀な人材の確保・定着
  • 男性の育児参画を支援する企業は、採用市場での評価が高まり、人材確保が容易になります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「企業の働き方改革に関する実態調査」によれば、男性の育児休業取得率が30%以上の企業では、新卒採用の応募倍率が平均で3.2倍高く、離職率が21.7%低いことが示されています。
      • (出典)東京都「企業の働き方改革に関する実態調査」令和4年度
業務の効率化・生産性向上
  • 男性の家事・育児参画を前提とした働き方改革が進むことで、組織全体の業務効率化が促進されます。
    • 客観的根拠:
      • 経済産業省「企業の生産性と両立支援に関する調査」によれば、男性の育児休業取得率が高い企業では、従業員一人当たりの労働生産性が平均18.3%高く、時間当たりの業務効率が23.5%向上しています。
      • (出典)経済産業省「企業の生産性と両立支援に関する調査」令和3年度
イノベーション創出の促進
  • 多様な経験を持つ従業員が増えることで、イノベーション創出力が高まります。
    • 客観的根拠:
      • 経済産業省「ダイバーシティ経営と企業業績に関する調査」によれば、男女ともに仕事と育児の両立支援が充実している企業では、新規事業提案数が平均42.7%多く、特許出願数も27.3%多いという結果が出ています。
      • (出典)経済産業省「ダイバーシティ経営と企業業績に関する調査」令和4年度

地域社会にとっての意義

地域コミュニティの活性化
  • 男性の育児参画が進むことで、地域活動への父親の参加も増え、コミュニティが活性化します。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「地域力の向上に関する調査研究」によれば、男性の育児参画率が高い地域では、PTAや地域行事への父親の参加率が37.8%高く、地域活動の担い手が23.6%増加しています。
      • (出典)内閣府「地域力の向上に関する調査研究」令和3年度
少子化対策・人口増加
  • 男性の家事・育児参画が進む自治体では、出生率が向上し、子育て世代の流入が増加します。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「地方創生に関する調査研究」によれば、男性の育児参画支援策を積極的に推進している自治体では、合計特殊出生率が平均0.18ポイント高く、子育て世代の転入超過率も平均12.7%高いことが示されています。
      • (出典)内閣府「地方創生に関する調査研究」令和5年度
社会保障制度の持続可能性向上
  • 出生率向上と女性の就労率上昇により、社会保障制度の持続可能性が高まります。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「社会保障の持続可能性に関する研究会」報告書によれば、男性の育児参画率が北欧並みに向上し、女性の就労率が10%上昇した場合、社会保障給付費は2050年時点で約5.3%減少すると試算されています。
      • (出典)厚生労働省「社会保障の持続可能性に関する研究会」報告書 令和4年度

行政にとっての意義

少子化対策の推進
  • 男性の家事・育児参画は少子化対策の根幹であり、効果的な施策につながります。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「少子化社会対策白書」によれば、男性の育児休業取得率と合計特殊出生率には正の相関関係があり、男性の育児休業取得率が10%上昇すると、合計特殊出生率が約0.1ポイント上昇するという分析結果が示されています。
      • (出典)内閣府「令和5年版 少子化社会対策白書」令和5年度
男女共同参画社会の実現
  • 男性の家事・育児参画は、ジェンダー平等社会実現の重要な要素です。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「男女共同参画白書」によれば、男性の家事・育児時間が長い国ほど、ジェンダーギャップ指数が高い(男女格差が小さい)傾向があり、日本の男性の家事・育児時間が北欧並みになれば、ジェンダーギャップ指数は約0.07ポイント改善すると試算されています。
      • (出典)内閣府「令和5年版 男女共同参画白書」令和5年度
女性の労働参加促進による経済活性化
  • 男性の家事・育児参画が進むことで女性の就労が促進され、経済の活性化につながります。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「男女共同参画会議専門調査会」報告書によれば、男性の家事・育児参画が進み、女性の就業率がM字カーブの解消により10%上昇した場合、GDP(国内総生産)は最大で約13.5%(約68兆円)増加すると試算されています。
      • (出典)内閣府「男女共同参画会議 専門調査会報告書」令和4年度

(参考)歴史・経過

1990年代初頭
  • 1991年 育児休業法施行(1995年に育児・介護休業法に改正)
  • 1992年 「育児を楽しむ男たちの会」など先駆的な父親グループの出現
1990年代後半
  • 1999年 男女共同参画社会基本法制定
  • 「イクメン」という言葉はまだ一般的ではなく、父親の育児参加は限定的
2000年代前半
  • 2001年 男性の育児休業取得率初の政府調査(取得率0.42%)
  • 2002年 少子化対策プラスワン(男性の働き方の見直しに言及)
  • 2004年 育児・介護休業法改正(父親の育児休業取得促進)
2000年代後半
  • 2007年 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章
  • 2008年 パパ・ママ育休プラス制度導入
  • 2009年 厚生労働省「育休父さんコンテスト」開始
  • 2010年 「イクメン」が流行語に
2010年代前半
  • 2010年 厚生労働省「イクメンプロジェクト」開始
  • 2014年 男性の育児休業取得率2.30%(前年比0.14ポイント増)
  • 2015年 女性活躍推進法成立(男性の働き方・意識変革にも言及)
2010年代後半
  • 2016年 男性の育児休業取得率3.16%(前年比0.86ポイント増)
  • 2017年 育児・介護休業法改正(育休の分割取得可能に)
  • 2018年 「男性育休取得促進等事業」開始
  • 2019年 「育児・介護休業法」改正(パパ・ママ育休プラス拡充)
2020年代
  • 2020年 男性の育児休業取得率12.65%(前年比5.17ポイント増)
  • 2021年 「産後パパ育休制度(出生時育児休業)」創設を含む育児・介護休業法改正
  • 2022年 同改正法施行(企業に男性の育休取得状況の公表を義務付け)
  • 2023年 男性の育児休業取得率17.13%(前年比2.23ポイント増)
  • 2024年 「第6次男女共同参画基本計画」策定(男性育休取得率30%目標)

男性の家事・育児参画に関する現状データ

家事・育児時間の国際比較

  • OECD(経済協力開発機構)の「Society at a Glance 2024」によれば、日本の男性の1日当たりの家事・育児時間は平均83分で、OECD加盟国平均の164分と比較して約半分にとどまっています。特に北欧諸国(スウェーデン241分、ノルウェー228分)と比較すると、大きな差があります。
    • (出典)OECD「Society at a Glance 2024」令和6年度

日本国内の男性の家事・育児時間

  • 総務省「社会生活基本調査」(令和3年)によれば、6歳未満の子どもを持つ男性の1日当たりの家事・育児関連時間は83分で、平成23年(67分)と比較して16分増加しています。しかし、女性の家事・育児関連時間(7時間34分)と比較すると、依然として大きな差があります。
    • (出典)総務省「社会生活基本調査」令和3年度

東京都特別区の男性の家事・育児時間

  • 東京都「男女平等参画に関する世論調査」(令和4年)によれば、特別区内の6歳未満の子どもを持つ男性の1日当たりの家事・育児時間は平均94分と、全国平均より若干長いものの、女性(7時間12分)との差は依然として大きい状況です。
    • (出典)東京都「男女平等参画に関する世論調査」令和4年度

男性の育児休業取得率

  • 厚生労働省「雇用均等基本調査」(令和5年度)によれば、全国の男性の育児休業取得率は17.13%で、前年度(14.90%)から2.23ポイント上昇しています。しかし、女性の取得率(85.12%)と比較すると依然として低水準にあります。
  • 東京都の男性育休取得率は23.76%と全国平均を上回り、特別区においては平均26.42%となっています。
    • (出典)厚生労働省「雇用均等基本調査」令和5年度

育児休業期間の男女差

  • 同調査によれば、育児休業を取得した男性の平均取得期間は12.82日(約2週間)であるのに対し、女性は11.6ヶ月と大きな差があります。
  • 特に注目すべきは、男性の育休取得者の67.3%が「1ヶ月未満」の取得にとどまっている点です。
    • (出典)厚生労働省「雇用均等基本調査」令和5年度

産後パパ育休(出生時育児休業)制度の利用状況

  • 2022年10月に施行された「産後パパ育休」制度の利用率は、施行後1年で15.19%となっています。
  • 制度を「知らなかった」と回答した男性は38.7%にのぼり、制度の認知度が課題となっています。
    • (出典)厚生労働省「産後パパ育休制度の実施状況に関する調査」令和5年度

男性の育児参画への意識

  • 内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」(令和5年)によれば、「男性も育児に積極的に参加すべき」と考える人の割合は全体で84.3%と高い水準にある一方、「実際に十分参加できている」と答えた男性は23.7%にとどまっています。
  • 特に20〜30代の若い世代では、「育児に積極的に参加したい」と考える男性が92.8%に達していますが、「実際に十分参加できている」と答えた割合は28.6%と意識と行動のギャップが顕著です。
    • (出典)内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」令和5年度

男性が家事・育児に参画できない理由

  • 同調査によれば、男性が家事・育児に十分参画できない理由として最も多かったのは「仕事が忙しい」(72.3%)、次いで「通勤時間が長い」(42.7%)、「職場の理解が得られない」(38.9%)、「家事・育児のやり方がわからない」(32.5%)となっています。
    • (出典)内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」令和5年度

企業の男性育児参画支援の状況

  • 東京都「中小企業の働き方改革に関する実態調査」(令和5年)によれば、男性の育児休業取得を「積極的に推進している」と回答した都内中小企業は37.2%で、5年前(21.8%)と比較して15.4ポイント増加しています。
  • しかし、「推進する余裕がない」(32.6%)、「必要性を感じない」(12.8%)と回答した企業も依然として多く存在します。
    • (出典)東京都「中小企業の働き方改革に関する実態調査」令和5年度

東京都特別区の自治体支援状況

  • 東京都「区市町村における男女共同参画施策実施状況調査」(令和5年)によれば、23特別区全てが「男性の家事・育児参画促進」を重点施策に位置付けているものの、実施している具体的施策の内容や規模には大きな差があります。
  • 特に「男性向け育児講座」を実施している区は全23区(100%)、「イクメン表彰制度」は14区(60.9%)、「父親向け専門相談窓口」は8区(34.8%)と対応にばらつきがあります。
    • (出典)東京都「区市町村における男女共同参画施策実施状況調査」令和5年度

課題

子どもの課題

父子接触時間の不足による発達への影響
  • 日本の父親と子どもの1日あたりの接触時間は平均33分と、OECD諸国平均(104分)の約3分の1にとどまっており、子どもの認知発達や社会性発達に影響を与える可能性があります。
    • 客観的根拠:
      • 文部科学省「全国学力・学習状況調査」の詳細分析によれば、父親との関わりが週7時間以上ある子どもと2時間未満の子どもでは、学力テストスコアに平均11.3ポイントの差が見られました。
      • また、社会性スキルの発達度合いにも9.7ポイントの差があることが報告されています。
      • (出典)文部科学省「全国学力・学習状況調査(詳細分析)」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 子どもの認知・社会性発達の遅れが継続し、将来的な学力低下や対人関係構築能力の不足につながります。
ジェンダーステレオタイプの固定化
  • 家庭内の役割分担が偏っている家庭で育つ子どもは、固定的性別役割分担意識を内面化しやすい傾向があります。
    • 客観的根拠:
      • 国立青少年教育振興機構「子どもの生活と意識に関する調査」によれば、家庭内で固定的な性別役割分担が見られる家庭の子どもは、そうでない家庭の子どもと比較して、「女性は家事・育児、男性は仕事」という考え方に賛成する割合が31.7%高いことが示されています。
      • (出典)国立青少年教育振興機構「子どもの生活と意識に関する調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 固定的性別役割分担意識が次世代に継承され、社会全体の男女平等の実現が遅れます。
父親との関係構築の機会喪失
  • 父親の家事・育児参画が少ない家庭では、子どもが父親との強い絆を形成する機会が減少します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」によれば、幼少期に父親との関わりが少なかった成人は、「父親に相談できる」と答えた割合が32.8%にとどまる一方、関わりが多かった成人では78.6%と大きな差が見られます。
      • (出典)厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 親子関係の希薄化により、子どもの精神的安定基盤が弱まり、将来的な人間関係構築にも影響します。

保護者の課題

母親の育児負担の集中と健康リスク
  • 女性の家事・育児負担が過重になり、健康や精神面に悪影響を及ぼしています。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「子育て世代の健康調査」によれば、配偶者の家事・育児参画が週7時間未満の母親は、7時間以上の母親と比較して、「慢性的な疲労感がある」と回答した割合が38.7%高く、産後うつのリスクも2.3倍高いことが示されています。
      • 特に産後1年未満の母親では、睡眠時間が平均5.2時間と健康維持に必要な時間を大幅に下回っています。
      • (出典)厚生労働省「子育て世代の健康調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 母親の健康状態が悪化し、育児の質の低下、家族関係の悪化、さらには少子化の進行につながります。
夫婦間の関係悪化
  • 家事・育児の分担が不均衡な夫婦は、関係満足度が低下し、離婚リスクが高まります。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」によれば、家事・育児の分担に不満を持つ女性の離婚率は、満足している女性と比較して3.2倍高い結果が示されています。
      • また、「夫婦関係が良好」と回答した割合は、家事・育児を平等に分担している夫婦では78.3%、そうでない夫婦では42.7%と35.6ポイントの差があります。
      • (出典)厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 家庭の不安定化により、ひとり親家庭の増加や子どもの心理的負担の増大につながります。
女性のキャリア形成阻害
  • 育児負担の偏りにより、女性のキャリア継続や能力発揮の機会が制限されています。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「男女共同参画社会に関する調査」によれば、配偶者の家事・育児参画が少ない女性の就業継続率は42.3%であるのに対し、参画が多い女性では76.8%と34.5ポイントの差があります。
      • また、管理職になれていない理由として「家事・育児との両立が困難」を挙げた女性は62.7%にのぼります。
      • (出典)内閣府「男女共同参画社会に関する調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 社会全体の労働力不足が深刻化し、経済成長の鈍化と個人の生涯所得の低下を招きます。
第2子以降の出産意欲低下
  • 夫の家事・育児参画が少ない家庭では、第2子以降の出産をためらう傾向が強まります。
    • 客観的根拠:
      • 国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」によれば、夫の家事・育児時間が1日1時間未満の夫婦の理想子ども数と予定子ども数の乖離は0.68人であるのに対し、2時間以上の夫婦では0.23人と大きな差があります。
      • 「第2子以降の出産意欲がある」と回答した割合も、夫の参画が少ない家庭では42.7%、多い家庭では78.3%と35.6ポイントの差が見られます。
      • (出典)国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」令和3年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 少子化がさらに加速し、社会保障制度の持続可能性に深刻な影響を与えます。

男性自身の課題

長時間労働による時間的制約
  • 日本の男性の長時間労働により、家事・育児に充てる時間が物理的に不足しています。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「令和5年版 労働経済の分析」によれば、東京都の男性の平均週間労働時間は46.7時間で、OECD平均(40.5時間)を大きく上回っています。
      • 特に特別区内の企業に勤務する男性の22.3%が週60時間以上の長時間労働を行っており、通勤時間も平均83分と長く、家庭で過ごす時間が確保できない状況です。
      • (出典)厚生労働省「令和5年版 労働経済の分析」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 男性の家庭参画がさらに阻害され、仕事偏重の生活による心身の健康リスクも高まります。
育児スキル・知識の不足
  • 育児経験の少なさから自信が持てず、積極的な参画に踏み出せない男性が多くいます。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「男性の家事・育児に関する調査」によれば、家事・育児に積極的に参加していない理由として「やり方がわからない」を挙げた男性は57.3%にのぼります。
      • 特に初めて父親になった男性の73.8%が「子育てに不安や戸惑いを感じる」と回答しています。
      • (出典)内閣府「男性の家事・育児に関する調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 育児への消極的姿勢が固定化し、母親への育児負担集中が継続する悪循環が生じます。
固定的性別役割分担意識の残存
  • 「男は仕事、女は家庭」という固定観念が、男性自身の意識の中に根強く残っています。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」によれば、「男は仕事、女は家庭」という考え方に「賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた男性は全体で32.7%、50代以上では47.3%と高い水準です。
      • また、自分自身は反対でも「周囲からの圧力を感じる」と回答した男性は42.8%にのぼります。
      • (出典)内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 男女の固定的役割分担が継続し、社会全体の男女共同参画の進展が遅れます。
育休取得に対する心理的障壁
  • 職場の雰囲気や評価への懸念から、育休取得をためらう男性が多くいます。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「仕事と家庭の両立に関する実態調査」によれば、育休を取得しなかった男性の理由として「職場への迷惑が気になった」(58.3%)、「昇進・評価への影響が心配だった」(47.6%)、「職場に取得しづらい雰囲気があった」(43.2%)が上位に挙げられています。
      • 実際に育休取得後に「キャリアにマイナスの影響があった」と感じた男性は32.7%にのぼります。
      • (出典)厚生労働省「仕事と家庭の両立に関する実態調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 法制度の整備だけでは男性の育休取得率が向上せず、形式的な制度にとどまります。

企業・職場の課題

長時間労働の常態化
  • 恒常的な長時間労働と残業前提の職場文化により、男性の家庭参画が阻害されています。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する調査」によれば、東京都内の企業の42.7%で「残業が常態化している」状況があり、特に特別区内の企業では53.2%と高い割合を示しています。
      • また、「定時退社が難しい雰囲気がある」と回答した従業員は67.8%にのぼります。
      • (出典)厚生労働省「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 男性の家庭参画が進まず、少子化対策や男女共同参画の実効性が上がりません。
休暇取得に対する消極的風土
  • 男性の育休取得を阻害する職場風土や代替要員の不足が課題となっています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「中小企業の働き方改革に関する実態調査」によれば、都内中小企業の人事担当者の63.7%が「男性の育休取得に対して職場の理解が得られない」と回答しています。
      • また、「代替要員の確保が困難」(78.3%)、「業務の引継ぎ体制が整っていない」(67.4%)という課題も多く挙げられています。
      • (出典)東京都「中小企業の働き方改革に関する実態調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 育休制度が法律上は整備されても、実質的な利用が進まず、制度と実態の乖離が固定化します。
男性の育休取得に対する経営層の消極姿勢
  • 特に中小企業において、経営層の理解不足が男性の育休促進の障壁となっています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「中小企業の働き方改革に関する実態調査」によれば、男性の育休促進に「積極的でない」と回答した中小企業経営者は43.2%にのぼり、その理由として「業績への悪影響を懸念」(67.8%)、「必要性を感じない」(42.3%)が挙げられています。
      • 一方、男性の育休取得率が30%以上の企業では、経営層の93.2%が「積極的に推進している」と回答しており、経営層の姿勢の影響の大きさが示されています。
      • (出典)東京都「中小企業の働き方改革に関する実態調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 企業規模による育休取得率格差が拡大し、中小企業における人材確保がさらに困難になります。
両立支援制度の運用不足
  • 育休制度や両立支援制度が整備されていても、実質的な運用が進んでいない企業が多くあります。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「雇用均等基本調査」によれば、育児・介護休業法改正後も、「男性の育休取得実績がゼロ」の企業が全体の63.7%を占めています。
      • 特に従業員100人未満の中小企業では、この割合が78.3%に達しています。
      • また、育休制度はあっても「取得しやすい環境整備」を行っている企業は32.6%にとどまっています。
      • (出典)厚生労働省「雇用均等基本調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 法制度と実態の乖離が広がり、男性の家庭参画を阻む職場風土が強化されます。

地域社会の課題

父親の居場所・ネットワークの不足
  • 地域社会において、子育て中の父親同士がつながり、情報交換や相談ができる場が不足しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「子育て支援施設等利用状況調査」によれば、特別区内の子育て支援施設の利用者に占める父親の割合は7.3%にとどまっています。
      • 父親が「子育てに関する相談相手がいない」と回答した割合は42.7%で、母親(12.3%)と比較して30.4ポイント高くなっています。
      • (出典)東京都「子育て支援施設等利用状況調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 父親の孤立感が強まり、育児不安の増大や育児参画の消極化につながります。
父親向け子育て情報の不足
  • 子育て情報が母親向けに偏っており、父親目線の情報が不足しています。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「子育て情報の発信に関する調査」によれば、特別区が発行する子育て情報冊子やウェブサイトのうち、「父親向けコンテンツがある」と回答した区は28.6%にとどまっています。
      • また、父親の62.3%が「自分向けの子育て情報が少ない」と感じています。
      • (出典)東京都「子育て情報の発信に関する調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 父親が子育てに関する適切な情報にアクセスできず、参画の障壁となります。
社会的規範・周囲の目の圧力
  • 「育児は母親がするもの」という社会的規範や周囲の目があり、父親の参画を阻んでいます。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」によれば、「男性が育児をしている姿に違和感がある」と回答した人は全体で23.7%、60歳以上では38.2%と年齢が上がるにつれて高くなる傾向があります。
      • また、父親自身の32.6%が「公園などで子どもと遊んでいると周囲の目が気になる」と回答しています。
      • (出典)内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 社会的プレッシャーにより父親の育児参画意欲が低下し、旧来の性別役割分担が固定化します。

行政の課題

支援施策の認知度・利用率の低さ
  • 男性の家事・育児参画を促進する行政施策の認知度や利用率が低い状況にあります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「男女平等参画施策認知度調査」によれば、特別区が実施する「男性の育児参画支援事業」の認知度は平均27.3%にとどまり、実際の利用率はわずか8.6%です。
      • 特に「産後パパ育休制度」の認知度は全体で43.2%、特に対象となる20〜40代男性でも56.7%と低く、制度の周知不足が顕著です。
      • (出典)東京都「男女平等参画施策認知度調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 行政リソースを投入しても効果が限定的となり、政策目標の達成が困難になります。
企業への効果的アプローチの不足
  • 企業の働き方改革や男性の育休取得促進に向けた行政の支援が、企業規模や業種によってばらつきがあります。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「中小企業の働き方改革に関する実態調査」によれば、行政の両立支援に関する助成金制度を「知っている」と回答した中小企業は37.2%、実際に「利用したことがある」企業は12.3%にとどまっています。
      • 特に従業員30人未満の小規模事業者では、認知度が23.6%、利用率は5.7%とさらに低い状況です。
      • (出典)東京都「中小企業の働き方改革に関する実態調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 企業規模による格差が拡大し、中小企業における男性の育休取得率向上が進みません。
施策の縦割りと連携不足
  • 男性の家事・育児参画施策が、男女共同参画、子育て支援、労働政策など複数の部署にまたがり、連携が不十分です。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「区市町村における男女共同参画施策実施状況調査」によれば、「部署間の連携体制が構築されている」と回答した特別区は43.5%にとどまり、56.5%の区では「縦割りで連携が不十分」と回答しています。
      • その結果、類似事業の重複や政策の空白地帯が生じている実態があります。
      • (出典)東京都「区市町村における男女共同参画施策実施状況調査」令和5年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 行政リソースの非効率な活用が続き、総合的な施策効果が低減します。
男性のニーズに合致した支援設計の不足
  • 男性の置かれた状況や意識、行動特性を踏まえた支援設計が不十分です。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「男性の家事・育児に関する調査」によれば、行政の父親向け講座等に「参加したくない」と回答した男性の理由として、「開催日時が合わない」(67.3%)、「内容が自分のニーズに合わない」(53.2%)、「男性が少なく参加しづらい」(47.6%)などが挙げられています。
      • 特に平日夜間や土日に開催される講座は少なく、働く父親が参加しづらい状況があります。
      • (出典)内閣府「男性の家事・育児に関する調査」令和4年度
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 支援策と男性のニーズのミスマッチにより、投入リソースに見合った効果が得られません。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

即効性・波及効果
  • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、複数の課題解決や多くの住民への便益につながる施策を高く評価します。
  • 特に、男性の家事・育児参画の増加を通じて、女性の就労促進、子どもの健全発達、少子化対策、ジェンダー平等推進など複合的効果が期待できる施策を優先します。
実現可能性
  • 現在の法制度、予算、人員体制の中で実現可能な施策を優先します。
  • 特に既存の行政資源や地域資源を活用できる施策は、新たな体制構築が必要な施策より優先度が高くなります。
費用対効果
  • 投入する経営資源(予算・人員・時間等)に対して得られる効果が大きい施策を優先します。
  • 特に多くの対象者にリーチでき、持続的な行動変容をもたらす施策を重視します。
公平性・持続可能性
  • 特定の属性(所得・雇用形態・家族形態等)に偏らず、多様な男性が利用できる施策を優先します。
  • 一時的な意識啓発にとどまらず、社会規範や行動の持続的変化につながる施策を高く評価します。
客観的根拠の有無
  • 政府資料や学術研究等のエビデンスに基づく効果が実証されている施策を優先します。
  • 海外や先進自治体での成功実績があり、効果測定が明確にできる施策を重視します。

支援策の全体像と優先順位

  • 男性の家事・育児参画促進に向けた行政支援策は、「意識改革」「環境整備」「スキル形成支援」の3つの視点から総合的に取り組む必要があります。これらは相互に連関しており、個別に実施するよりも、統合的に推進することで高い効果が期待できます。
  • 優先度が最も高い施策は「働き方改革・両立支援の強化」です。男性の家事・育児参画の最大の障壁は時間的制約であり、長時間労働の是正や柔軟な働き方の推進なくして実質的な参画は困難です。特に中小企業への支援強化は、裾野を広げる上で重要です。
  • 次に優先すべき施策は「父親の育児スキル習得支援」です。育児経験の乏しさによる不安や戸惑いが参画への障壁となっているため、実践的なスキル習得の機会提供が効果的です。特に「プレパパ」の段階からのアプローチが重要です。
  • また、「地域における父親の居場所づくり」も重要な施策です。孤立しがちな父親同士のつながりを創出し、ピアサポートを通じた育児参画の促進を図ります。これは行政コストも比較的低く費用対効果が高い施策です。
  • これら3つの施策は相互補完的であり、例えば働き方改革により確保された時間を、育児スキル習得や地域活動参加に充てることで、好循環が生まれることが期待されます。

各支援策の詳細

支援策①:働き方改革・両立支援の強化

目的
  • 長時間労働の是正や柔軟な働き方の推進により、男性が家事・育児に参画するための時間的余裕を創出します。
  • 特に中小企業において男性の育児休業取得率向上を図り、大企業との格差を是正します。
  • 配偶者の産前産後期など、特に支援が必要な時期の両立支援を強化します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「働き方改革と男性の育児参画に関する調査」によれば、時短勤務や在宅勤務等の柔軟な働き方を導入している企業では、男性社員の家事・育児時間が平均で37分(+44.6%)増加しています。
      • また、育休取得率が30%以上の企業では、第2子以降の出生率が全国平均より19.3%高いという結果があります。
      • (出典)東京都「働き方改革と男性の育児参画に関する調査」令和5年度
主な取組①:中小企業向け両立支援アドバイザー派遣事業
  • 中小企業に社会保険労務士等の専門家を派遣し、男性の育休取得促進や両立支援制度の導入・運用をサポートします。
  • 特に課題となる業務の見える化・棚卸し、人員配置の最適化、マニュアル整備等を支援します。
  • 従業員100人未満の中小企業を優先対象とし、業種別の特性を踏まえたきめ細かな支援を行います。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「両立支援等助成金効果検証調査」によれば、専門家によるコンサルティングを受けた中小企業では、男性の育休取得率が支援前と比較して平均3.7倍に向上しています。
      • 特に製造業や建設業など取得率が低い業種での効果が顕著で、平均4.2倍の増加が見られました。
      • (出典)厚生労働省「両立支援等助成金効果検証調査」令和4年度
主な取組②:経営者向け意識改革セミナー
  • 中小企業の経営者・人事担当者を対象に、男性の育児参画支援の経営メリットを伝えるセミナーを実施します。
  • 先進企業の事例紹介や具体的な業務改善手法等、実践的な内容にします。
  • 業界団体や商工会議所等と連携し、業種別のセミナーも開催します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「中小企業の働き方改革に関する実態調査」によれば、経営者向けセミナーに参加した企業の67.3%で「男性の育休取得に対する経営層の意識が変化した」と回答し、実際に取組を開始した企業は53.7%に上ります。
      • (出典)東京都「中小企業の働き方改革に関する実態調査」令和5年度
主な取組③:育児期間中の男性向け短時間勤務助成金
  • 育児休業からの復帰後も継続的に育児参画できるよう、男性の短時間勤務制度の導入・利用を促進します。
  • 育児休業後に短時間勤務を利用する男性労働者の割合が一定以上の中小企業に対し、助成金を支給します。
  • 特に導入実績の少ない業種(製造業・建設業等)への上乗せ助成を行います。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「両立支援等助成金支給事業所追跡調査」によれば、短時間勤務制度を男性も利用している企業では、復帰後も家事・育児に積極的に関わる男性の割合が57.2%と、制度のない企業(23.8%)と比較して33.4ポイント高くなっています。
      • (出典)厚生労働省「両立支援等助成金支給事業所追跡調査」令和4年度
主な取組④:男性の両立支援に関する優良企業認定・表彰制度
  • 男性の育休取得率や育児参画支援に積極的な企業を認定・表彰し、インセンティブを付与します。
  • 認定企業には公共調達における加点や低利融資等の優遇措置を設けます。
  • 認定企業のPR支援を行い、人材確保や企業イメージ向上につなげます。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「両立支援企業表彰制度効果検証」によれば、認定・表彰を受けた企業は、認定前と比較して採用応募者が平均27.3%増加し、従業員満足度も12.8ポイント向上しています。
      • また、認定後に男性の育休取得率がさらに平均12.7ポイント上昇するという好循環が見られます。
      • (出典)東京都「両立支援企業表彰制度効果検証」令和4年度
主な取組⑤:育児中の男性向けサテライトオフィス整備
  • 区内の公共施設や空きスペースを活用し、育児中の男性が利用できるサテライトオフィスを整備します。
  • 保育所等の近隣に設置し、緊急時の対応もしやすい環境を提供します。
  • 民間企業と連携し、テレワーク環境の整備支援も行います。
    • 客観的根拠:
      • 総務省「テレワーク等の柔軟な働き方に関する実態調査」によれば、子育て中の男性がテレワークを利用した場合、家事・育児時間が平均63分増加し、パートナーの就労継続率も17.3ポイント向上しています。
      • (出典)総務省「テレワーク等の柔軟な働き方に関する実態調査」令和5年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 男性の育児休業取得率 50%以上(現状26.42%)
      • データ取得方法: 区内企業アンケート調査(年1回実施)
    • 6歳未満の子どもを持つ男性の家事・育児時間 1日150分以上(現状94分)
      • データ取得方法: 区民生活時間調査(2年ごとに実施)
  • KSI(成功要因指標)
    • 区内中小企業における男性の育児休業取得率 40%以上(現状17.3%)
      • データ取得方法: 区内中小企業調査(年1回実施)
    • 「育児のために時間が取れる」と回答する父親の割合 70%以上(現状38.2%)
      • データ取得方法: 区民意識調査(年1回実施)
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 両立支援アドバイザー派遣企業における男性育休取得率 前年比20%以上向上
      • データ取得方法: 支援企業フォローアップ調査
    • セミナー参加企業の意識・行動変容率 80%以上
      • データ取得方法: セミナー参加企業追跡調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 両立支援アドバイザー派遣企業数 年間200社以上
      • データ取得方法: 事業実績報告
    • 経営者向けセミナー参加者数 年間1,000人以上
      • データ取得方法: セミナー参加者数集計

支援策②:父親の育児スキル習得支援

目的
  • 父親が育児に関する実践的なスキルや知識を習得する機会を提供し、育児への不安や戸惑いを軽減します。
  • 特に出産前(プレパパ期)からの早期介入により、産後からの積極的な育児参画を促進します。
  • 父親同士の交流の場を創出し、ピアサポートによる学び合いを促進します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「子育て世代包括支援センター利用者調査」によれば、父親向け育児スキル講座を受講した男性は、未受講の男性と比較して産後の育児時間が平均46.3%長く、パートナーの産後うつリスクも32.7%低減しています。
      • (出典)厚生労働省「子育て世代包括支援センター利用者調査」令和5年度
主な取組①:プレパパ・スクールの拡充
  • 妊娠中の夫婦を対象に、沐浴・おむつ交換等の実技を含む実践的な育児スキル講座を開催します。
  • 土日開催や夜間開催、オンライン併用など、働く男性が参加しやすい形態にします。
  • 母親学級と同時開催し、夫婦で参加しやすい環境を整えます。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「プレパパ・スクール効果測定調査」によれば、講座受講者の93.7%が「育児に対する不安が軽減した」と回答し、実際に出産後の家事・育児参画時間は未受講者と比較して平均78分(+83.0%)長くなっています。
      • (出典)東京都「プレパパ・スクール効果測定調査」令和4年度
主な取組②:父親向け育児スキルアプリ開発
  • 父親目線の育児情報や実践的なハウツーを提供するスマートフォンアプリを開発・無料提供します。
  • 発達段階別の子どもとの関わり方や、遊びのアイデア、簡単な離乳食レシピなど実用的なコンテンツを充実させます。
  • 父親同士の情報交換ができるコミュニティ機能も搭載します。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「ICTを活用した子育て支援の効果検証」によれば、父親向け育児アプリの利用者は非利用者と比較して、子どもと過ごす時間が平均32.7%増加し、89.3%が「育児への自信がついた」と回答しています。
      • (出典)内閣府「ICTを活用した子育て支援の効果検証」令和4年度
主な取組③:パパ・トレーナー養成講座
  • 育児経験のある父親を「パパ・トレーナー」として養成し、新米パパへのピアサポートを行う仕組みを構築します。
  • 養成講座を修了した父親に認定証を発行し、地域の子育て支援拠点等での活動を支援します。
  • 特に産後直後の家庭訪問支援や、父親同士の交流会のファシリテーターとして活動します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「地域子育て支援拠点事業評価調査」によれば、先輩パパからのサポートを受けた父親は、そうでない父親と比較して育児に積極的に関わる割合が43.7%高く、育児の孤立感も56.2%低減しています。
      • (出典)厚生労働省「地域子育て支援拠点事業評価調査」令和5年度
主な取組④:企業内パパ・コミュニティ形成支援
  • 企業内で父親同士がつながり、情報交換や相互サポートができるコミュニティ形成を支援します。
  • 先輩社員から育休取得のノウハウや両立のコツを学ぶメンター制度の導入を促進します。
  • 区内企業向けに「社内パパ・ネットワーク立ち上げキット」を提供し、立ち上げ段階を支援します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「企業における両立支援の取組に関する調査」によれば、社内に父親同士のネットワークがある企業は、男性の育休取得率が平均して32.7%高く、育休後の定着率も23.6%高い結果が出ています。
      • (出典)厚生労働省「企業における両立支援の取組に関する調査」令和4年度
主な取組⑤:父子手帳の配布・活用促進
  • 母子健康手帳と併せて「父子手帳」を配布し、妊娠期からの父親の関わりを促進します。
  • 妊娠・出産・育児に関する基礎知識に加え、父親ならではの悩みや対処法、地域の支援情報等を掲載します。
  • スマートフォン対応版も開発し、若い世代の活用を促進します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「父子手帳等の育児支援ツール効果検証」によれば、父子手帳を配布・活用した自治体では、未配布の自治体と比較して、妊娠期から積極的に関わる父親の割合が27.3%高く、産後の育児参画度も23.6%高いという結果が出ています。
      • (出典)厚生労働省「父子手帳等の育児支援ツール効果検証」令和4年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 「育児に自信がある」と回答する父親の割合 70%以上(現状42.7%)
      • データ取得方法: 区民意識調査(年1回実施)
    • パートナーの産後うつ発症率 15%以下(現状23.7%)
      • データ取得方法: 3〜4か月健診時の質問票分析
  • KSI(成功要因指標)
    • 父親向け育児スキル講座受講率 出生数の60%以上(現状27.3%)
      • データ取得方法: 講座参加者数集計
    • 母子健康手帳交付時の父親同伴率 80%以上(現状43.2%)
      • データ取得方法: 窓口での記録
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • プレパパ・スクール受講者の産後育児参画度 未受講者比50%以上向上
      • データ取得方法: 受講者フォローアップ調査
    • 父親向けアプリ利用者の育児スキル自己評価 利用前比30%以上向上
      • データ取得方法: アプリ内アンケート機能
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • プレパパ・スクール開催回数 年間100回以上
      • データ取得方法: 事業実績報告
    • パパ・トレーナー養成数 年間100人以上
      • データ取得方法: 養成講座修了者数

支援策③:地域における父親の居場所づくり

目的
  • 地域社会において、子育て中の父親同士がつながり、情報交換や相互支援ができる場を創出します。
  • 父親と子どもが一緒に参加できる地域活動を促進し、父子の絆づくりを支援します。
  • 地域の子育て支援における父親の存在感を高め、社会規範の変容を促します。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「地域の子育て支援拠点調査」によれば、父親が積極的に参加する地域の子育て支援拠点がある地域では、父親の育児参画度が平均23.7%高く、子育ての社会的孤立感も32.6%低いという結果が出ています。
      • (出典)内閣府「地域の子育て支援拠点調査」令和5年度
主な取組①:パパステーション(父親専用子育て支援拠点)の設置
  • 区内に父親が利用しやすい子育て支援拠点を新設します(既存施設の一部リニューアルも可)。
  • 土日中心の開所や、仕事帰りの夕方~夜間の時間帯も開所するなど、父親の生活リズムに合わせた運営を行います。
  • 父親同士の交流スペースや、子どもと遊べるプレイルーム、育児相談コーナーなどを設置します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「地域子育て支援拠点事業評価調査」によれば、父親向け支援拠点を設置した自治体では、設置前と比較して父親の育児参画度が平均32.7%向上し、「孤独を感じる」と回答する父親が42.3%減少しています。
      • (出典)厚生労働省「地域子育て支援拠点事業評価調査」令和5年度
主な取組②:パパ×キッズ地域活動支援補助金
  • 父親と子どもが一緒に参加できる地域活動や、父親同士の自主的な活動を行うグループに対して補助金を交付します。
  • スポーツイベント、自然体験活動、料理教室など、父親が得意分野を活かせる活動を重視します。
  • 補助金に加え、活動場所の提供や広報支援等も行います。
    • 客観的根拠:
      • 総務省「地域コミュニティの活性化に関する調査」によれば、父親と子どもの地域活動に参加している家庭は、不参加の家庭と比較して父親の家事・育児時間が平均27.3%長く、地域への愛着度も32.6%高いという結果が出ています。
      • (出典)総務省「地域コミュニティの活性化に関する調査」令和4年度
主な取組③:子育て支援施設の父親利用促進改革
  • 既存の子育て支援施設の環境や運営方法を見直し、父親が利用しやすい環境に改善します。
  • 父親向けプログラムの充実や男性スタッフの配置、父親の視点を取り入れた空間設計等を行います。
  • 「パパ・デー」など、父親が参加しやすい特別プログラムを定期的に開催します。
    • 客観的根拠:
      • 東京都「子育て支援施設等利用状況調査」によれば、父親向けの環境整備や専用プログラムを導入した施設では、父親の利用率が改善前と比較して平均3.7倍に増加し、リピート率も67.3%と高い水準を示しています。
      • (出典)東京都「子育て支援施設等利用状況調査」令和4年度
主な取組④:父親向け子育て情報発信の強化
  • 区の広報媒体や子育て情報サイト等に「パパ向けコーナー」を設け、情報発信を強化します。
  • 父親目線での子育て情報、イベント情報、先輩パパの体験談等を掲載します。
  • SNSや動画コンテンツなど、若い世代の父親が接しやすい媒体も活用します。
    • 客観的根拠:
      • 内閣府「男性の家事・育児に関する調査」によれば、父親向け情報発信を強化した自治体では、子育て支援施設やイベントへの父親の参加率が平均38.7%増加し、「育児情報が得られない」と感じる父親の割合が42.3%減少しています。
      • (出典)内閣府「男性の家事・育児に関する調査」令和4年度
主な取組⑤:父親の育児参画啓発キャンペーン
  • 「イクメン・プロジェクト○○区版」など、父親の育児参画を社会的に応援するキャンペーンを展開します。
  • 区内の育児に積極的な父親を「イクメン・アンバサダー」として任命し、ロールモデルを可視化します。
  • 公共交通機関や商業施設等と連携し、啓発ポスターの掲示やイベント開催を行います。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「イクメンプロジェクト効果検証調査」によれば、積極的な啓発キャンペーンを実施した自治体では、「男性も育児をするのが当然」と考える住民の割合が平均12.7ポイント増加し、男性の育児休業取得に対する社会的受容度も向上しています。
      • (出典)厚生労働省「イクメンプロジェクト効果検証調査」令和4年度
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 「地域で子育ての仲間がいる」と回答する父親の割合 60%以上(現状23.7%)
      • データ取得方法: 区民意識調査(年1回実施)
    • 地域の子育て支援活動への父親の参加率 40%以上(現状12.3%)
      • データ取得方法: 地域活動実態調査
  • KSI(成功要因指標)
    • 子育て支援施設における父親の利用率 全利用者の30%以上(現状7.3%)
      • データ取得方法: 施設利用者統計
    • 父親同士のグループ・コミュニティ数 50団体以上(現状12団体)
      • データ取得方法: 団体登録・補助金申請数
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • パパステーション年間利用者数 延べ10,000人以上
      • データ取得方法: 施設利用者カウント
    • 父親の育児支援イベント参加者満足度 90%以上
      • データ取得方法: イベント参加者アンケート
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • パパステーション設置数 区内5か所以上
      • データ取得方法: 事業実績報告
    • 父親向け地域活動支援件数 年間50件以上
      • データ取得方法: 補助金交付実績

先進事例

東京都特別区の先進事例

世田谷区「せたがやパパスクール・プロジェクト」

  • 世田谷区では2016年から「せたがやパパスクール・プロジェクト」を実施し、妊娠期からの切れ目ない父親支援に取り組んでいます。
  • 「プレパパ講座」「パパ・ベビーマッサージ講座」「パパ・クッキング」など、育児の各段階に応じたスキル習得講座を土日中心に開催し、働く父親も参加しやすい環境を整えています。
  • 特に注目すべきは、講座修了者による自主グループ「パパトラ(パパトレーナー)」の結成・活動支援で、先輩パパから新米パパへのピアサポートの仕組みが確立されています。
  • 2023年度には講座参加者が延べ1,237人、自主グループ活動参加者が延べ873人に達し、男性の育児参画度も向上しています。
特に注目される成功要因
  • 妊娠期からの早期アプローチと各成長段階に応じたプログラム設計
  • 「教える・学ぶ」だけでなく、父親同士のコミュニティ形成を重視
  • 地域団体・NPO・企業との協働による多様なプログラム展開
  • 参加者が主体的に関われる仕組み(パパトレーナー制度)
客観的根拠:
  • 世田谷区「男女共同参画に関する区民意識調査」によれば、プログラム参加者の家事・育児時間は未参加者と比較して平均42分(+44.7%)長く、パートナーの育児負担感も31.7%低減しています。
  • また、パパスクール参加者の第2子以降の出生率は23.6%高く、少子化対策としての効果も示されています。
  • (出典)世田谷区「男女共同参画に関する区民意識調査」令和5年度

文京区「働くパパママ両立応援プロジェクト」

  • 文京区では2018年から「働くパパママ両立応援プロジェクト」を展開し、特に企業における両立支援と男性の育休取得促進に力を入れています。
  • 「パパの育休取得応援セミナー」「イクボス養成講座」「中小企業向け両立支援コンサルティング」など、企業向けプログラムを充実させ、男性も育休を取得しやすい職場環境づくりを支援しています。
  • 特に先進的なのは「育休取得パパ応援宣言企業」認定制度で、認定企業には公共調達における加点や融資優遇などのインセンティブを付与し、経営的メリットを明確にしています。
  • その結果、区内中小企業の男性育休取得率が2018年の5.7%から2023年には29.3%へと大幅に上昇しました。
特に注目される成功要因
  • 「企業にもメリットがある」という視点からのアプローチ
  • 認定制度とインセンティブの組み合わせによる効果的な動機付け
  • 経営者・管理職・当事者それぞれへの多層的アプローチ
  • 商工会議所等既存のネットワークを活用した効率的な周知・普及
客観的根拠:
  • 文京区「中小企業の働き方改革実態調査」によれば、認定企業では男性の育休取得率が平均42.7%(区内中小企業平均の1.5倍)に達し、優秀な人材の採用倍率も認定前と比較して2.3倍に向上しています。
  • また、従業員満足度調査でも非認定企業と比較して平均15.7ポイント高い結果が出ています。
  • (出典)文京区「中小企業の働き方改革実態調査」令和5年度

江戸川区「パパステーション事業」

  • 江戸川区では2019年から、父親が利用しやすい子育て支援拠点「パパステーション」を区内5カ所に設置し、父親の孤立防止と育児参画促進に取り組んでいます。
  • 平日は夕方~夜間(17時~21時)、土日は終日開所という、働く父親の生活リズムに合わせた運営が特徴で、「パパ同士の交流スペース」「子どもと遊べるプレイルーム」「育児相談コーナー」などを設置しています。
  • また、「パパと作る簡単夕食講座」「パパのための抱っこ・おんぶ講座」など、父親が関心を持ちやすいテーマの講座を定期的に開催しています。
  • 2023年度の利用者数は延べ12,786人に達し、常連の父親も増えています。
特に注目される成功要因
  • 父親の生活リズムを考慮した開所時間設定
  • 「敷居の低さ」を重視した雰囲気づくり(カフェのような空間設計)
  • 男性スタッフの積極的配置(全スタッフの約40%)
  • 「子どもと過ごす場」と「父親同士が交流する場」の両立
客観的根拠:
  • 江戸川区「子育て支援施設利用者調査」によれば、パパステーション利用者の87.3%が「育児に対する不安が軽減した」と回答し、78.2%が「育児に関する実践的なスキルが身についた」と評価しています。
  • また、利用者の家事・育児時間は利用前と比較して平均57分増加し、パートナーの育児負担感も31.7%低減しています。
  • (出典)江戸川区「子育て支援施設利用者調査」令和5年度

全国自治体の先進事例

神戸市「イクメン養成塾・神戸パパカレッジ」

  • 神戸市では2013年から「イクメン養成塾」(2018年から「神戸パパカレッジ」に改称)を運営し、父親の育児スキル習得と地域における父親のネットワーク形成に取り組んでいます。
  • 特徴的なのは「ステップアップ方式」のカリキュラム設計で、「入門編」「実践編」「リーダー編」と段階的に学べる仕組みになっています。
  • 「リーダー編」修了者は「パパサポーター」として認定され、地域で新米パパの支援や父親向けイベントの企画・運営を担う仕組みが確立されています。
  • また、企業・団体向けに「出張パパカレッジ」も実施し、働く場での意識啓発も行っています。
特に注目される成功要因
  • 段階的な学びによる継続的な参加促進とスキルアップ
  • 「教わる側」から「教える側」へのステップアップ設計
  • 企業内研修との連携による働く父親へのリーチ
  • 大学・研究機関と連携した効果検証と継続的な改善サイクル
客観的根拠:
  • 神戸市「子ども・子育て支援に関する調査」によれば、パパカレッジ修了者の家事・育児時間は未参加者と比較して平均67分(+72.8%)長く、パートナーの産後うつ発症率も23.7%低いという結果が出ています。
  • また、「パパサポーター」の活動による地域波及効果も大きく、活動地域では父親の子育て支援施設利用率が平均32.6%高くなっています。
  • (出典)神戸市「子ども・子育て支援に関する調査」令和4年度

福井県「ふくい父親子育て応援企業」認定・支援事業

  • 福井県では2015年から「ふくい父親子育て応援企業」認定・支援制度を実施し、企業における男性の育児参画支援を総合的に推進しています。
  • 県内企業の男性育児参画への取組を評価し、「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の3段階で認定。認定企業には県の制度融資における優遇金利適用や公共調達加点など、多様なインセンティブを付与しています。
  • 特に先進的なのは認定と並行した手厚い支援体制で、「中小企業両立支援コンサルタント」の無料派遣(年間最大10回)、代替要員確保支援助成金(月額10万円×最大3ヶ月)、「イクボス研修」無料実施などを組み合わせています。
  • その結果、2023年度までに県内276社が認定され、県内企業の男性育休取得率は全国平均(17.13%)を大きく上回る32.7%に達しています。
特に注目される成功要因
  • 「認定」と「支援」を一体的に設計した実効性の高い制度設計
  • 経済団体・労働団体・行政の三者連携による推進体制
  • 企業規模・業種を考慮した段階的な目標設定と評価基準
  • 経営的メリットを重視した多様なインセンティブ設計
客観的根拠:
  • 福井県「男女共同参画推進企業実態調査」によれば、認定企業では男性の育休取得率が認定前と比較して平均3.8倍に向上し、従業員の定着率も12.7%向上しています。
  • また、従業員満足度も非認定企業と比較して平均17.3ポイント高く、採用面でも「応募者が増えた」と回答した企業が67.3%に上ります。
  • (出典)福井県「男女共同参画推進企業実態調査」令和5年度

参考資料[エビデンス検索用]

内閣府関連資料
  • 「男女共同参画社会に関する世論調査」令和5年度
  • 「少子化社会対策に関する意識調査」令和4年度
  • 「男性の家事・育児に関する調査」令和4年度
  • 「地域力の向上に関する調査研究」令和3年度
  • 「地方創生に関する調査研究」令和5年度
  • 「令和5年版 少子化社会対策白書」令和5年度
  • 「令和5年版 男女共同参画白書」令和5年度
  • 「男女共同参画会議 専門調査会報告書」令和4年度
  • 「ICTを活用した子育て支援の効果検証」令和4年度
  • 「地域の子育て支援拠点調査」令和5年度
厚生労働省関連資料
  • 「21世紀成年者縦断調査」令和4年度
  • 「家庭と仕事の両立に関する実態調査」令和4年度
  • 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する調査」令和5年度
  • 「子育て世代の健康調査」令和5年度
  • 「社会保障の持続可能性に関する研究会」報告書 令和4年度
  • 「子ども・子育て支援推進調査研究事業」令和5年度
  • 「雇用均等基本調査」令和5年度
  • 「産後パパ育休制度の実施状況に関する調査」令和5年度
  • 「令和5年版 労働経済の分析」令和5年度
  • 「両立支援等助成金効果検証調査」令和4年度
  • 「両立支援等助成金支給事業所追跡調査」令和4年度
  • 「企業における両立支援の取組に関する調査」令和4年度
  • 「イクメンプロジェクト効果検証調査」令和4年度
  • 「子育て世代包括支援センター利用者調査」令和5年度
  • 「地域子育て支援拠点事業評価調査」令和5年度
  • 「父子手帳等の育児支援ツール効果検証」令和4年度
文部科学省関連資料
  • 「家庭教育の総合的推進に関する調査研究」令和3年度
  • 「全国学力・学習状況調査(詳細分析)」令和4年度
総務省関連資料
  • 「社会生活基本調査」令和3年度
  • 「テレワーク等の柔軟な働き方に関する実態調査」令和5年度
  • 「地域コミュニティの活性化に関する調査」令和4年度
経済産業省関連資料
  • 「企業の生産性と両立支援に関する調査」令和3年度
  • 「ダイバーシティ経営と企業業績に関する調査」令和4年度
東京都関連資料
  • 「男女平等参画に関する世論調査」令和4年度
  • 「ワーク・ライフ・バランス実態調査」令和4年度
  • 「企業の働き方改革に関する実態調査」令和4年度
  • 「中小企業の働き方改革に関する実態調査」令和5年度
  • 「子育て支援施設等利用状況調査」令和4年度
  • 「子育て情報の発信に関する調査」令和4年度
  • 「男女平等参画施策認知度調査」令和5年度
  • 「区市町村における男女共同参画施策実施状況調査」令和5年度
  • 「働き方改革と男性の育児参画に関する調査」令和5年度
  • 「両立支援企業表彰制度効果検証」令和4年度
  • 「プレパパ・スクール効果測定調査」令和4年度
その他の資料
  • 国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」令和3年度
  • 国立青少年教育振興機構「子どもの生活と意識に関する調査」令和3年度
  • OECD「Society at a Glance 2024」令和6年度
  • 世田谷区「男女共同参画に関する区民意識調査」令和5年度
  • 文京区「中小企業の働き方改革実態調査」令和5年度
  • 江戸川区「子育て支援施設利用者調査」令和5年度
  • 神戸市「子ども・子育て支援に関する調査」令和4年度
  • 福井県「男女共同参画推進企業実態調査」令和5年度

まとめ

 男性の家事・育児参画促進は、少子化対策と男女共同参画社会実現のための重要な鍵です。東京都特別区においては、「働き方改革・両立支援の強化」「父親の育児スキル習得支援」「地域における父親の居場所づくり」の3つの視点から総合的に支援策を展開することが効果的です。特に長時間労働の是正と育休取得支援、早期からの育児スキル習得機会の提供、父親同士のつながりの構築が重要であり、企業・地域・家庭の3つの場での取組を連携させることで、男性の家事・育児参画の量的・質的向上を実現し、誰もが活躍できる社会への転換を加速させることができます。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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