15 教育

幼稚園・保育所・認定こども園の連携強化

masashi0025

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(幼児教育・保育を取り巻く環境)

  • 自治体が幼稚園・保育所・認定こども園の連携強化を行う意義は、「質の高い幼児教育・保育の均等な機会提供」と「多様化する保護者のニーズへの柔軟な対応」にあります。
  • 日本の就学前教育・保育は、歴史的に文部科学省が所管する「幼稚園」(教育施設)と、こども家庭庁(旧厚生労働省)が所管する「保育所」(児童福祉施設)という異なる制度の下で発展してきました。この「幼保二元体制」は、こどもの育ちや保護者のニーズが多様化・複雑化する現代において、施設間のサービス内容や保護者負担の格差、職員の資格・養成課程の違いといった制度的な障壁を生む一因となっています。
  • この構造的課題に対応するため、2006年に両者の機能を併せ持つ「認定こども園」制度が創設され、2015年の「子ども・子育て支援新制度」施行以降、国は財政支援を通じて認定こども園への移行を強力に推進してきました。
  • さらに、2023年には子ども政策の司令塔として「こども家庭庁」が発足し、保育所、認定こども園、地域の子育て支援事業の所管が一元化されました。しかし、学校教育法に基づく幼稚園は引き続き文部科学省の所管であり、完全な一元化には至っておらず、行政の縦割り構造は依然として残存しています。このため、自治体レベルでの積極的な連携強化策が、質の高い幼児教育・保育を地域全体で実現するための鍵となります。

意義

こどもにとっての意義

円滑な発達と学びの連続性の確保
多様な体験機会の拡充
  • 施設間の合同行事や職員・園児の交流を通じて、こどもたちは多様な価値観、異なる環境、幅広い年齢の他者と関わる機会を得られます。これは、社会性や協調性、コミュニケーション能力の発達を促す上で非常に有益です。

保護者にとっての意義

施設選択の柔軟性向上と利用しやすさ
  • 幼稚園と保育所の機能を併せ持つ認定こども園の普及や施設間連携が進むことで、保護者の就労状況が変化した場合でも、転園することなく通い慣れた施設を利用し続けることが可能になります。これにより、こどもと保護者の負担が軽減され、仕事と子育ての両立がしやすくなります。
    • (出典)(https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/sukusuku)
切れ目のない子育て支援
経済的負担の格差是正
  • 歴史的に保育料の算定根拠や補助金の仕組みが異なっていたため、幼稚園と保育所では保護者負担に格差が存在しました。連携強化と制度の一元化(認定こども園化)は、こうした経済的負担の不公平感を是正し、利用する施設の種類によって有利・不利が生じない環境の実現に寄与します。

学校・教師にとっての意義

専門性の向上と相互理解
業務負担の軽減と効率化
  • 運動会や発表会などの行事を共同で開催したり、指導計画や事務作業に関する情報を共有したりすることで、職員の業務負担を軽減できます。また、ICTシステムを共同で導入・活用することで、保護者連絡や記録作成などの業務を大幅に効率化することも可能です。

地域社会にとっての意義

地域子育て拠点の形成

行政にとっての意義

経営資源の効率的配分
質の高い幼児教育・保育の安定供給
  • 地域全体で連携体制を構築することにより、特定の施設で人材不足や経営難が生じた場合でも、他の施設が補完し合うことができます。これにより、地域全体の幼児教育・保育の質の水準を維持・向上させ、安定的なサービス提供を実現します。

(参考)歴史・経過

幼児教育・保育に関する現状データ

認定こども園への移行加速と幼稚園の激減
全国的な待機児童減少と東京都の「逆行現象」
深刻な保育人材不足
  • 幼児教育・保育の現場は、深刻な人材不足に直面しています。厚生労働省の職業安定業務統計によると、令和6年度平均の全職種の有効求人倍率が1.25倍であるのに対し、保育士の有効求人倍率は令和6年1月時点で3.54倍と、極めて高い水準にあります。
  • 特に東京都では状況はさらに厳しく、保育士の有効求人倍率は4.81倍(令和7年1月時点予測値)に達しています。これは、施設の整備が進んでも、それを支える人材が決定的に不足していることを示しており、連携強化や質の向上を目指す上での最大の制約要因となっています。

課題

こどもの課題

小学校教育への円滑な移行の困難さ(小1プロブレム)
  • 幼稚園・保育所での遊び中心の生活から、小学校の規律や時間割に基づいた学習中心の生活への移行に適応できず、授業中に席を立って歩き回る、先生の指示を聞けないといった行動が見られる「小1プロブレム」が依然として課題となっています。これは、園と学校の教育文化や環境の大きな違いに起因します。
特別な配慮を必要とするこどもへの支援の断絶
  • 発達上の特性や障害、外国籍、不安定な家庭環境など、特別な配慮を必要とするこどもに関する情報が、就学時に幼稚園・保育所から小学校へ円滑に引き継がれないケースが少なくありません。個別の支援計画や有効だった関わり方などの情報が途切れることで、小学校での支援が遅れ、こどもが混乱したり、不適応を起こしたりするリスクがあります。

保護者の課題

施設類型によるサービス・費用・利便性の格差
  • 幼稚園、保育所、認定こども園では、教育・保育時間、預かり保育の有無や料金、給食の提供、保護者が参加する行事の頻度、そして保育料に至るまで、サービス内容と費用負担が大きく異なります。この複雑で分かりにくい制度は、保護者が自身の就労形態や子育て方針に最適な施設を選択する上での障壁となっています。
未就園児家庭の孤立と情報不足
  • 幼稚園や保育所等に通っていない「未就園児」のいる家庭は、子育てに関する専門的な情報や支援から切り離され、社会的に孤立しやすい状況にあります。特に、保護者が育児に不安を抱えていたり、こどもに発達上の課題があったりする場合でも、その状況が外部から把握されにくく、虐待などのリスクが見過ごされる危険性も指摘されています。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 支援が必要な家庭が社会から孤立し、こどもの健全な発達が阻害されるリスクが高まります。

施設・職員の課題

深刻な人材不足と高い離職率
  • 保育現場は、高い有効求人倍率が示すように、慢性的な人材不足にあります。その大きな要因は、仕事量や責任の重さに見合わない処遇に加え、職場の人間関係の難しさにあります。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省の調査によると、保育士の離職理由の第1位は「職場の人間関係」(33.5%)であり、「給料が安い」(29.2%)や「仕事量が多い」(27.7%)を上回っています。また、別の調査では93.5%の保育士が職場の人間関係で悩んだ経験があると回答しており、問題の根深さを示しています。
      • (出典)厚生労働省「保育士の現状と主な取組」
      • (出典)(https://hoipura.jp/relationships/)
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 安定した保育体制が構築できず、保育の質が低下し、残った職員の負担増大という悪循環に陥ります。
幼保の文化・制度の違いによる職員間の連携不足
連携活動のための時間・体制の不足
  • 日々の保育や事務作業に追われる中で、小学校や他の園と連携するための時間を確保することは極めて困難です。また、連携を推進するための担当者が明確でなかったり、組織的な計画がなかったりするため、活動が個々の職員の熱意に依存し、単発的・形式的なものに終わりがちです。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 連携が形式的な単発イベントに留まり、こどもの学びの連続性を保障するという本来の目的が達成されません。

行政の課題

縦割り行政による非効率
  • 国のレベルで、幼稚園が文部科学省、保育所・認定こども園がこども家庭庁と所管が分かれていることは、自治体レベルでの政策推進においても非効率を生んでいます。補助金の制度、指導監査の基準、職員への研修体系などが一本化されておらず、自治体が地域の実情に応じて柔軟な連携策を講じる上での足かせとなっています。
地域間格差と保育ニーズのミスマッチ
  • 東京都特別区内においても、財政力や人口動態、地域特性は一様ではありません。その結果、待機児童数や提供される保育サービスの内容に大きな地域間格差が生じています。行政には、こうしたマクロな格差に加え、共働き世帯の増加や働き方の多様化によって変化する保護者の個別具体的なニーズ(延長保育、病児保育、多様な教育プログラムなど)を的確に把握し、供給体制をそれに適合させていくという、よりミクロな計画能力が求められています。

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

  • 即効性・波及効果:
    • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、複数の課題解決や多くの住民への便益につながる施策を高く評価します。
  • 実現可能性:
    • 現在の法制度、予算、人員体制の中で実現可能な施策を優先します。既存の仕組みを活用できる施策は優先度が高くなります。
  • 費用対効果:
    • 投入する経営資源(予算・人員等)に対して得られる効果が大きい施策を優先します。将来的な財政負担軽減効果も考慮します。
  • 公平性・持続可能性:
    • 特定の地域・層だけでなく、幅広い住民に便益が及び、長期的・継続的に効果が持続する施策を高く評価します。
  • 客観的根拠の有無:
    • 政府資料や調査研究等のエビデンスに基づき効果が実証されている施策、または先進事例で成功実績がある施策を重視します。

支援策の全体像と優先順位

  • 幼稚園・保育所・認定こども園の連携強化は、「①教育内容・カリキュラムの接続」「②人材の確保・育成と協働体制」「③地域全体の支援基盤」という3つの側面から総合的に取り組む必要があります。
  • これらの課題の中でも、保育人材の深刻な不足は、全ての施策の前提を揺るがす最大のボトルネックです。したがって、**最優先で取り組むべきは「支援策②:保育人材の確保・育成と協働体制の構築」**です。安定した職員体制なくして、質の高い教育・保育も、実効性のある連携も実現できません。
  • 次に優先すべきは、連携強化の核となる**「支援策①:幼保小連携の推進と『架け橋期』教育の充実」**です。これは「小1プロブレム」という喫緊の課題に直接対応するものであり、国の「架け橋プログラム」とも連動するため、政策的な推進力や財源確保の観点からも実現可能性が高い施策です。
  • そして、これら2つの施策を土台とし、中長期的な視点で取り組むべきが**「支援策③:地域一体での子育て支援基盤の強化」**です。これは、地域の持続可能性を高め、多様化するニーズに柔軟に対応できるレジリエントな子育て支援ネットワークを構築するものです。

各支援策の詳細

支援策①:幼保小連携の推進と「架け橋期」教育の充実

目的
    • 幼稚園・保育所・認定こども園と小学校が連携し、こどもの発達と学びの連続性を保障する。
    • 国の「幼保小の架け橋プログラム」を地域の実情に応じて推進し、「小1プロブレム」の解消を目指す。
    • 客観的根拠:
主な取組①:幼保小連携コーディネーターの配置・育成
    • 各小学校区または自治体単位で、幼稚園・保育所・小学校間の連携を専門に企画・調整する「幼保小連携コーディネーター」を配置します。
    • コーディネーターは、合同研修会の企画運営、施設間の交流活動の調整、架け橋期カリキュラム作成のファシリテーション、施設間の情報共有の促進などを担います。
主な取組②:「架け橋期カリキュラム」の共同開発支援
    • 各小学校区の幼稚園・保育所・小学校の職員が定期的に集まり、「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」を共通言語として、地域のこどもの実態に即した「架け橋期カリキュラム」を共同で開発・改善するための時間と場を保障します。
    • 合同研修会やワークショップの開催費用、大学教授などの専門家を招聘するための経費を補助します。
主な取組③:教職員の合同研修・相互交流の機会拡充
    • 幼稚園教諭、保育士、小学校教員が、互いの保育・授業を参観し、こどもの姿を通して意見交換を行う機会を制度として保障します。
    • 現場の職員が気兼ねなく研修や交流に参加できるよう、代替職員の配置にかかる経費を補助する制度を設けます。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
      • 小学校1年生の学校生活への適応に関する保護者・教員アンケートでの肯定的回答率:90%以上
      • データ取得方法: 毎年、学年末に小学校1年生の全保護者および担任教員を対象としたWebアンケート調査を実施。
  • KSI(成功要因指標)
      • 全小学校区における「架け橋期カリキュラム」の策定・運用率:100%
      • データ取得方法: 教育委員会が各校区の幼保小連携コーディネーターからの年次報告を取りまとめ、策定・運用状況を確認。
      • 幼保小連携コーディネーターの配置率:全小学校区に1名以上配置
      • データ取得方法: 教育委員会の人事・配置計画に基づく実績確認。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
      • 合同研修・交流会に参加した教職員の「相互理解が深まった」「実践に役立った」とする回答率:95%以上
      • データ取得方法: 各研修・交流会終了後に参加者へのアンケートを実施。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
      • 年間合同研修・交流会の開催回数:各小学校区で年4回以上(参観、協議会等を含む)
      • データ取得方法: 幼保小連携コーディネーターからの活動実績報告。

支援策②:保育人材の確保・育成と協働体制の構築

目的
    • 保育人材の深刻な不足を解消し、質の高い職員の確保と定着を図る。
主な取組①:処遇改善等加算の一本化の円滑な導入と活用支援
    • 令和7年度から一本化される「処遇改善等加算」について、事業者向けに分かりやすい説明会や個別相談会を複数回開催し、各施設が円滑に新制度へ移行できるよう支援します。
    • 新制度では、加算額の配分について事業者の裁量が増す部分があるため、加算額が確実に職員の処遇改善やキャリアアップ(研修参加等)につながるよう、具体的な配分ルールやキャリアパス要件のモデル例を提示します。
主な取組②:幼稚園教諭・保育士の合同研修と資格併有の促進
    • 新任、中堅、管理職といったキャリア段階(階層)別に、幼稚園教諭と保育士が共に参加する合同研修を体系的に実施します。
    • 研修内容には、両制度の理念や保育内容の相互理解を深めるプログラムを必須とし、グループワークや事例検討を通じて、異なる背景を持つ職員間の対話を促進します。
    • 幼稚園教諭免許と保育士資格の併有(保育教諭資格)を促進するため、国の特例制度の活用を周知するとともに、免許・資格取得のための学習費用補助や、働きながら学びやすいe-ラーニング等の柔軟な研修機会の提供を支援します。
    • 客観的根拠:
主な取組③:ICT導入による業務負担軽減の強力な推進
    • 登降園管理、保護者への一斉連絡、指導計画や保育日誌の作成、職員の勤怠管理などを一元的に行える保育ICTシステムの導入経費を大幅に補助します(導入費用の3/4〜全額補助など)。
    • ICT化によって削減された時間を、こどもと向き合う時間や、職員同士の対話・研修の時間に充てることを推奨し、保育の質の向上と労働環境改善の好循環を生み出します。
    • ICT活用に不慣れな施設や職員向けに、専門家による導入サポートや操作研修会を実施します。
    • 客観的根拠:
主な取組④:ハラスメント防止とメンタルヘルス相談体制の構築
    • 保育現場で起こりやすいパワーハラスメントや職員間のトラブルについて、具体的な事例と対処法を盛り込んだ防止ガイドラインを作成し、全施設に配布・研修を実施します。
    • 職員が匿名で心理カウンセラーや社会保険労務士等の専門家に相談できる、外部の第三者相談窓口を設置・運営します。相談窓口の利用料は行政が負担し、職員が安心して利用できる環境を整えます。
    • 客観的根拠:
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
      • 保育士・幼稚園教諭の離職率:全国平均(約10%)を下回り、8%未満を維持する。
      • データ取得方法: 各施設から提出される雇用保険被保険者資格取得・喪失届等の情報に基づき、自治体が離職率を算出・集計。
  • KSI(成功要因指標)
      • 幼保連携型認定こども園における保育教諭(資格併有者)の割合:95%以上
      • データ取得方法: 各施設からの年次報告に基づく職員の資格保有状況調査。
      • 保育ICTシステムの導入率:管内全施設の100%
      • データ取得方法: 補助金申請実績および各施設へのヒアリング調査。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
      • 職員の労働環境に対する満足度(「満足」「やや満足」の合計):80%以上
      • データ取得方法: 年1回、全職員を対象とした無記名式のWebアンケート調査を実施。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
      • 階層別人材育成合同研修の年間参加者数(延べ):管内全職員数の50%以上
      • データ取得方法: 研修実施機関からの参加実績報告。
      • 第三者相談窓口の年間相談件数:目標設定は行わず、利用実績をモニタリングする。
      • データ取得方法: 委託先相談機関からの個人情報を含まない統計報告。

支援策③:地域一体での子育て支援基盤の強化

目的
    • 施設類型(幼稚園、保育所、認定こども園)や設置主体(公立、私立)の垣根を越えた、地域単位での柔軟な連携ネットワークを構築する。
    • 地域の全ての子育て家庭(特に支援の届きにくい未就園児家庭)を支える、重層的で切れ目のない支援体制を整備する。
主な取組①:地域幼児教育支援センターの機能強化とハブ化
主な取組②:施設間連携プロジェクトへの財政支援
    • 複数の幼稚園・保育所・認定こども園が共同で実施する、地域に開かれたプロジェクトに対し、企画・運営経費を補助する新たな制度を創設します。
    • (補助対象プロジェクト例):
  *   - 地域の自然や文化資源を活用した合同遠足・体験活動
  *   - 運動会や生活発表会などの合同開催
  *   - 音楽や体操、英語などの専門講師の共同招聘
  *   - 地域住民や未就園児親子を対象とした交流イベント
    • 施設が主体的に連携を企画・実行するインセンティブを与えることで、行政主導ではない、現場の創意工夫から生まれる多様な連携を促進します。
  * **客観的根拠:**
      * こども家庭庁や文部科学省は、施設整備や教育の質向上に関する様々な財政支援メニューを用意しています。これらを活用し、自治体が独自の裁量で柔軟に配分できる連携促進補助金を設計することは、地域の実情に応じた支援として有効です。
      * (出典)[こども家庭庁「子ども・子育て支援」](https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido)
      * (出典)[文部科学省「幼児期及び幼保小接続期の教育の質的向上」2025年](https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/91882196-4d61-4b6b-93dd-d1596e4b74c8/cc0f600d/20250130-councils-kodomoseisaku-bukyokuchokaigi-91882196-09.pdf)
主な取組③:「こども誰でも通園制度」の積極的活用と地域開放
    • 令和8年度から本格実施される「こども誰でも通園制度」を、地域の連携基盤強化の機会として積極的に活用します。
    • 地域の幼稚園・保育所・認定こども園が連携して受け入れ体制を整備し、地域の未就園児が定期的に質の高い保育・教育に触れる機会を確保します。
    • この制度の利用を通じて、これまで行政との接点が少なかった家庭の状況を把握し、孤立の防止や潜在的な支援ニーズの早期発見につなげます。
    • 制度の活用と併せて、各施設の園庭開放や図書室の貸し出し、子育て相談など、施設が持つ資源を広く地域住民に開放する取り組みを奨励し、運営経費の一部を補助します。
  * **客観的根拠:**
      * 「こども誰でも通園制度」は、保護者の就労要件を問わず、0歳6か月から満3歳未満の未就園児を月10時間まで預けられる国の新しい制度です。これは、未就園児家庭への支援を強化し、すべての子どもの育ちを保障する上で極めて重要なツールとなります。
      * (出典)[こども家庭庁「令和7年版こども白書(概要)」2025年](https://www.google.com/search?q=https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/26eaf394-b81d-4t78-8303-eeb3d28c89c2/79682e72/20250611_resources_white-paper_r07_01.pdf)
      * (出典)[育児助成金白書「こども誰でも通園制度とは」](https://www.ikuhaku.com/mains/systemdetail/okayama/tsuyama_shi/8910/)
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
      • 地域の「子育てのしやすさ」に対する区民満足度:85%以上
    * **データ取得方法:** 毎年実施する区民意識調査における関連設問の回答結果。
  • KSI(成功要因指標)
      • 幼児教育支援センターを介した連携事業の年間実施件数:50件以上
    * **データ取得方法:** 幼児教育支援センターの事業実績報告。
      • 「こども誰でも通園制度」の利用率(対象年齢人口に対する利用登録児童数の割合):20%以上
    * **データ取得方法:** 制度運用システムからのデータ集計。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
      • 未就園児家庭の地域子育て支援サービス(一時預かり、支援拠点等)の利用率:対前年比10%増
    * **データ取得方法:** 各支援拠点・サービスの利用者記録の集計・分析。
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
      • 施設間連携プロジェクトへの補助金交付件数:年間20件以上
    * **データ取得方法:** 補助金交付実績の集計。

先進事例

東京都特別区の先進事例

江東区「江東区保幼小連携教育プログラム with… ~ともに~」

  • 江東区では、区独自の連携教育プログラムを策定し、その中で「就学前教育スタンダード」を定めています。これは「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を具体化したもので、保育者と小学校教員がこどもの育ちと学びについて共通の視点を持つための基盤となっています。
  • また、年に2回「江東区連携教育の日」を設け、各小学校区の校園長や連携担当者が一堂に会する協議会を開催し、交流活動の計画策定や情報共有を組織的に行っています。
  • 成功要因は、区が「スタンダード」という明確な共通言語と、トップダウン(協議会設置)とボトムアップ(現場の交流)を組み合わせた継続的な仕組みを提供している点にあります。これにより、連携が形式的なものに終わらず、日々の保育・教育の改善に繋がっています。

練馬区「ねりま接続期プログラム」

  • 練馬区は、「5歳児の10月から小学校1年生の5月上旬まで」を「接続期」と明確に定義し、その期間に特化した指導・連携のポイントをまとめた独自のプログラムを策定し、区内全ての幼稚園・保育所・小学校に配布しています。
  • プログラムには、接続期だけでなく0歳から小学校1年生までの発達段階ごとの子どもの姿や、家庭で実践できる関わり方の例も掲載されており、学びの連続性を可視化し、保護者との連携も視野に入れた内容となっています。
  • 成功要因は、「接続期」という具体的な期間を設定することで、現場の職員が連携の焦点を絞り、集中的かつ効果的に取り組むことを可能にしている点です。

国立市「国立市版 幼保小連携プログラム」

  • 国立市では、教育委員会(教育部門)、子ども家庭部(福祉部門)、そして市の外郭団体である「くにたち子どもの夢・未来事業団」の3者が事務局を構成し、「幼保小連携推進委員会」を立ち上げるという、強力な推進体制を構築しています。
  • この体制のもと、市内の全小学校と就学前施設を小グループ化し、年に3回、教職員が互いの施設を行き来して授業や保育を参観し、意見交換を行う相互交流を計画的に実施しています。
  • 成功要因は、行政の縦割りを組織的に乗り越えた強力な推進体制と、一部の意欲的な施設だけでなく、市内の全施設を対象とした網羅的かつ継続的な交流の仕組みを構築した点にあります。
    • 客観的根拠:
      • 市の報告によると、この取り組みにより、これまで体系的な交流がほとんどなかった施設間での連携が円滑に進み、教職員の相互理解が深まることで、こどもたちが安心して小学校生活をスタートできる環境づくりに繋がっています。
      • (出典)国立市「幼保小連携推進事業について」

全国自治体の先進事例

岡山県津山市「津山市保幼こ小接続カリキュラム」

  • 津山市では、平成20年という早い段階から市長の諮問に基づき「津山市幼児教育検討委員会」を設置し、公立・私立の幼稚園・保育園が一丸となって市の幼児教育の理念や将来像を策定しました。
  • この理念に基づき「津山市保幼こ小接続カリキュラム」を作成し、管理職会や担当者会を定期的に開催するなど、10年以上にわたって継続的に連携の仕組みを運用・改善しています。特別な配慮が必要なこどもの情報を円滑に引き継ぐための「津山市共通支援シート」の活用など、具体的なツール開発も進めています。
  • 成功要因は、首長のリーダーシップのもと、長期的なビジョンに基づいて地域全体の合意形成を図り、PDCAサイクルを回しながら継続的に取り組みを発展させている点にあります。

高知県「幼保小連携・接続推進事業」

  • 高知県は、文部科学省の「幼保小の架け橋プログラム」モデル地域として、県全体で体系的な連携強化に取り組んでいます。
  • その特徴は、単にカリキュラムを作成するだけでなく、「架け橋期のカリキュラム」の実践・改善に継続的に取り組むための対話の重要性を強調している点です。幼保小の教員同士の対話はもちろん、保護者や地域住民への積極的な情報発信を通じて、遊びを通した学びの重要性について社会全体の理解を深めることを目指しています。
  • 成功要因は、カリキュラムという「モノ」を作ること以上に、関係者間の「対話」というプロセスを重視し、地域全体でこどもの育ちを支える文化を醸成しようとしている点です。

参考資料[エビデンス検索用]

こども家庭庁
文部科学省
厚生労働省
東京都
特別区・その他自治体
その他調査研究

まとめ

 東京都特別区における幼稚園・保育所・認定こども園の連携強化は、単なる施設間の交流に留まらず、こどもの発達と学びの連続性を保障し、多様化する保護者のニーズに応えるための根幹的な政策課題です。これまでの「量の拡大」から「質の向上と連携強化」へと政策の軸足を移すことが求められています。特に、連携の最大の障壁である深刻な人材不足とその背景にある労働環境の問題、そして施設類型による文化や制度の違いを乗り越えることが不可欠です。行政の支援策は、①保育人材の確保・定着と協働体制の構築、②「架け橋プログラム」を核とした教育内容の接続、③地域幼児教育支援センターをハブとした地域全体の支援基盤強化、という3つの柱で総合的に推進されるべきです。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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