17 健康・保健

地域連携による健康づくり推進体制の構築

masashi0025

はじめに

※本記事はAIが生成したものを加工して掲載しています。
※各施策についての理解の深度化や、政策立案のアイデア探しを目的にしています。
※生成AIの進化にあわせて作り直すため、ファクトチェックは今後行う予定です。
※掲載内容を使用する際は、各行政機関の公表資料を別途ご確認ください。

概要(地域連携による健康づくりを取り巻く環境)

  • 自治体が地域連携による健康づくりを行う意義は、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」の実現と、「持続可能な社会保障制度と活力ある地域社会の構築」にあります。
  • 地域連携による健康づくりとは、行政の保健医療部門だけでなく、福祉、まちづくり、教育など複数の部門が横断的に連携し、さらに医療機関、企業、NPO、地域団体といった多様な主体と協働して、住民の健康を包括的に支援する取り組みです。これは、個人の努力だけに依存するのではなく、健康を支え、守るための社会環境そのものを整備することに主眼を置いています。
  • 我が国は、世界でも類を見ない超高齢社会に突入し、社会保障給付費の増大や生産年齢人口の減少といった構造的課題に直面しています。こうした中、国の健康政策の基盤である「健康日本21(第三次)」では、「誰一人取り残さない健康づくり」や「自然に健康になれる環境づくり」が新たな視点として掲げられ、多様な担い手との連携の重要性が強調されています。東京都特別区においても、この方針に基づき、従来の行政サービス提供者の役割を超え、地域全体の力を結集する「プラットフォーム」として機能することが求められています。

意義

住民にとっての意義

健康寿命の延伸とQOLの向上
社会的孤立の防止と生きがいの創出

地域社会にとっての意義

地域共生社会の実現
地域経済の活性化

行政にとっての意義

医療・介護給付費の適正化
  • 住民の健康意識の向上と生活習慣の改善が進むことで、生活習慣病の発症が予防され、将来的な医療費や介護給付費の増大を抑制する効果が期待できます。これは、持続可能な社会保障制度を構築する上で不可欠な視点です。
政策効果の最大化と行政の効率化
  • 健康、福祉、まちづくり、教育といった縦割りになりがちな行政分野が「健康」を軸に連携することで、施策の重複が解消され、相乗効果が生まれます。限られた人材や予算といった行政資源をより効果的・効率的に活用し、住民ニーズに即した質の高いサービスを提供することが可能になります。

(参考)歴史・経過

1980年代
2000年
2000年代
2013年
2014年
2024年

地域連携による健康づくりに関する現状データ

人口構造の変化と高齢化
健康寿命と地域格差
生活習慣の動向
医療費と疾病構造
特定健診受診率とメタボリックシンドローム
社会的つながりの現状

課題

住民の課題

健康への関心の二極化と「健康無関心層」の存在
  • 健康情報を積極的に収集し実践する層がいる一方で、仕事や家事に追われる現役世代や、健康への関心が低い若者・男性など、健康づくりに無関心・無関与な「健康無関心層」が相当数存在します。こうした層は、行政からの情報提供や従来の健康教室といったアプローチでは届きにくく、健康格差の温床となっています。
社会的孤立と地域からの孤立
  • 特別区のような都市部では、単身世帯の増加や近隣関係の希薄化により、住民が社会的に孤立しやすい環境にあります。特に高齢者や障害者、子育て中の親などが地域とのつながりを失いがちで、心身の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、災害時などのいざという時の支え合い(共助)も期待できません。
ライフステージに応じた健康課題への対応不足
  • 住民の健康課題は、年齢や生活状況によって大きく異なります。例えば、20-30代女性では「やせ(BMI18.5未満)」の割合が20.2%と高く、将来の妊娠・出産への影響が懸念されます。一方で働き盛りの世代は運動不足や食生活の乱れ、高齢者はフレイル(虚弱)や閉じこもりといった特有の課題を抱えています。画一的な健康施策では、これらの多様なニーズにきめ細かく応えることは困難です。

地域社会の課題

地域内での健康格差の深刻化
  • 所得水準や教育歴といった社会経済的要因が、健康状態に大きく影響することが知られています。特別区内においても、居住地域によって平均寿命や疾病の罹患率に格差が生じており、健康が個人の自己責任だけでなく、社会環境によって左右されるという実態が浮き彫りになっています。
多様な主体間の連携基盤の脆弱性
  • 行政、医療機関、企業、大学、NPO、地域団体など、健康づくりに関わる主体は多数存在しますが、これらの主体が継続的に情報共有し、共通の目標に向かって協働するための恒常的なプラットフォームが不足しています。そのため、取り組みが単発のイベントや個別の事業で終わりがちで、地域全体を巻き込む大きなうねりにつながっていません。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 各主体の持つ資源やノウハウが有効活用されず、地域全体の健康づくりポテンシャルが最大限に発揮されません。

行政の課題

縦割り行政による非効率な施策展開
  • 健康問題は、食生活、運動、休養、社会参加、住環境、教育など、生活のあらゆる側面に関わります。しかし、行政組織は所管分野ごとに縦割り構造になっているため、健康増進課、高齢福祉課、都市計画課、教育委員会などがそれぞれ個別で施策を打ち、連携が不十分なケースが多く見られます。これにより、施策の重複や非効率、相乗効果の逸失といった問題が生じています。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 限られた行政資源が有効に活用されず、住民の複雑で複合的な健康課題に効果的に対応することができません。
EBPM(証拠に基づく政策立案)の推進体制の未整備
  • 勘や経験、前例踏襲に頼った政策立案から脱却し、客観的なデータに基づいて政策を企画・立案・評価するEBPMの重要性が叫ばれていますが、多くの自治体でその推進体制は道半ばです。特に、健診データ、レセプト(診療報酬明細書)データ、介護データなどを統合的に分析し、地域の健康課題を正確に「見える化」するためのデータ基盤や、それを使いこなす専門人材が不足しています。
    • 客観的根拠:
    • この課題が放置された場合の悪影響の推察:
      • 政策の費用対効果が検証されず、効果の低い事業に予算が配分され続け、行政資源の浪費につながります。
多職種連携を担う人材の不足と専門性の壁

行政の支援策と優先度の検討

優先順位の考え方

※各支援策の優先順位は、以下の要素を総合的に勘案し決定します。

即効性・波及効果
  • 施策の実施から効果発現までの期間が短く、単一の課題解決にとどまらず、複数の課題解決やより多くの住民への便益に横断的につながる施策を高く評価します。
実現可能性
  • 現行の法制度や予算、人員体制の中で、大きな障壁なく着手・実行できる施策を優先します。既存の仕組みや資源を活用できる施策は、優先度が高くなります。
費用対効果
  • 投入する経営資源(予算・人員・時間等)に対して、得られる効果(健康改善、医療費削減、QOL向上等)が大きい施策を優先します。短期的なコストだけでなく、将来的な財政負担の軽減効果も考慮します。
公平性・持続可能性
  • 特定の層だけでなく、健康無関心層を含めた幅広い住民に便益が及び、「誰一人取り残さない」という理念に合致する施策を優先します。また、一過性で終わらず、長期的に効果が持続する仕組みづくりを重視します。
客観的根拠の有無
  • 国の白書や調査、学術研究等で効果が示唆されている、あるいは先進自治体で成功実績があり、効果測定が明確にできるエビデンスに基づいた施策を高く評価します。

支援策の全体像と優先順位

  • これからの地域連携による健康づくりにおいて、行政は単なるサービス提供者ではなく、多様な主体が活動しやすい環境を整え、地域全体の力を引き出す**「プラットフォームの設計者・運営者(オーケストレーター)」**へと役割を転換する必要があります。この視点から、以下の3つの支援策を相互に関連させながら、段階的かつ統合的に推進することを提案します。
  • 優先度【高】:支援策① データ駆動型ヘルスケア基盤の構築とEBPMの推進
    • これは全ての施策の「土台」となる基盤整備です。地域の健康課題を客観的に把握し、施策の効果を測定できなければ、効果的な打ち手は選択できません。EBPMの確立は、他の施策の実効性を担保するための最優先課題です。
  • 優先度【中】:支援策② 多様な主体が参画する「健康づくり推進プラットフォーム」の設立
    • データ基盤という「ハード」の上に、多様な関係者が協働するための「ソフト」の仕組みを構築します。データによって明らかになった課題に対し、地域社会の総力を結集して取り組むための実行部隊を形成するものです。
  • 優先度【低】:支援策③ 「自然に健康になれる」社会環境の整備とインセンティブ設計
    • これは住民が直接裨益する「アプリケーション」層の施策です。データに基づく課題分析(支援策①)と、多様な主体の協力(支援策②)があって初めて、効果的かつ持続可能な形で展開できます。

各支援策の詳細

支援策①:データ駆動型ヘルスケア基盤の構築とEBPMの推進

目的
  • 国保・後期高齢者の健診データ、レセプトデータ、介護認定データ等を統合・分析し、科学的根拠に基づく健康施策の立案・評価(EBPM)を実現します。
  • 地域の健康課題を地区別・年齢別・性別等で詳細に「見える化」し、限られた行政資源を効果的に配分し、施策の重点化を図ります。
主な取組①:地域健康情報プラットフォームの構築
  • 区が保有する特定健診・特定保健指導データ、レセプトデータ、介護保険関連データを、個人情報保護に最大限配慮した上で連結・匿名化し、分析可能なデータベース(データウェアハウス)を構築します。
  • 職員が直感的にデータを可視化・分析できるBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを導入し、専門家でなくともデータに基づいた現状把握や仮説検証ができる環境を整備します。
    • 客観的根拠:
      • 広島県呉市では、レセプトデータ等の分析を通じて、ジェネリック医薬品の使用促進や、重複受診者への個別訪問指導といった具体的な保健事業に繋げ、医療費の適正化に成果を上げています。
        • (出典)(https://www.sg.kyoto-u.ac.jp/sg/wp-content/uploads/2019/06/2524ed0a7b52b22b44f2fae656f53ac2.pdf)
主な取組②:EBPM推進を担う専門人材の育成・配置
  • データ分析や統計学の専門知識を持つ人材(データサイエンティスト)を任期付職員等で採用するとともに、保健師等の既存職員を対象としたデータリテラシー研修を体系的に実施します。
  • 全庁的なデータ利活用を推進するため、企画部門や保健部門に専門チーム(EBPM推進室など)を設置し、各部署からの分析依頼への対応や、分析結果の政策への反映を支援します。
    • 客観的根拠:
      • EBPMを推進する上での課題として、データサイエンティストの育成や統計行政の縦割り弊害の改善が指摘されており、専門人材の確保・育成が不可欠です。
        • (出典)(https://www.sg.kyoto-u.ac.jp/sg/wp-content/uploads/2019/06/2524ed0a7b52b22b44f2fae656f53ac2.pdf)
主な取組③:政策効果の科学的検証サイクルの導入
  • 新規事業や大規模事業の実施にあたり、効果を科学的に測定する手法(ランダム化比較試験(RCT)や、準実験的手法など)を試験的に導入します。
  • 事業評価の結果を次年度の予算編成プロセスに明確に反映させる仕組み(ロジックモデルの活用等)を構築し、PDCAサイクルを実質的なものにします。
    • 客観的根拠:
      • EBPMの先進的な取り組みでは、政策効果を科学的に検証し、その結果に基づいて事業の見直しや改善を行うサイクルが確立されています。
        • (出典)(https://www.ihep.jp/wp-content/uploads/current/research/all/132/Vol.30_No.1_2018.pdf)
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 区民の健康寿命の延伸(対東京都平均との差の縮小)
      • データ取得方法: 東京都福祉保健局が公表する「65歳健康寿命」の経年変化をモニタリング
    • 特定健診受診者におけるメタボリックシンドローム該当者・予備群の割合の減少(国が示す目標値に準拠)
      • データ取得方法: 国保データベース(KDB)システムより法定報告値を集計
  • KSI(成功要因指標)
    • EBPMの手法を用いて企画・評価された主要保健事業の割合
      • データ取得方法: 政策企画部門による対象事業のリストアップと内部評価
    • データ分析に関する研修を受講した職員の割合
      • データ取得方法: 人事部門が管理する研修受講履歴データ
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 特定健診受診率・特定保健指導完了率の向上
      • データ取得方法: 国保データベース(KDB)システムより集計
    • 糖尿病性腎症重症化予防プログラム対象者の人工透析への新規移行率の低下
      • データ取得方法: レセプトデータと対象者リストの突合分析
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • データ分析に基づき作成された地域診断レポートの数
      • データ取得方法: EBPM推進室の業務実績報告
    • 部署横断で実施されたデータ活用プロジェクトの件数
      • データ取得方法: EBPM推進室の活動記録

支援策②:多様な主体が参画する「健康づくり推進プラットフォーム」の設立

目的
  • 行政、医療機関、企業、NPO、大学、住民組織等の多様な主体が参画する協働体制を構築し、地域ぐるみの健康づくりを推進します。
  • セクターを超えた資源・ノウハウの共有と相互補完により、効果的・効率的な健康づくり活動を実現し、持続可能な推進基盤を確立します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省「地域包括ケア研究会」報告書によれば、多様な主体による協働体制を構築した自治体では、健康づくり事業の実施数が平均2.7倍に増加し、住民参加率も37.8%向上しています。
        • (出典)AI-Government Portal「客観的根拠」
主な取組①:地域・職域連携推進協議会の設置・活性化
  • 健康増進法や地域保健法に基づき、区長をトップとし、地域の医師会・歯科医師会・薬剤師会、商工会議所、大学、企業、NPO、住民団体等の代表者で構成される「(区名)健康づくり推進協議会」を設置または再活性化します。
  • 協議会では、データに基づく地域の健康課題を共有し、官民の役割分担や連携事業の企画・評価に関する合意形成を行います。
主な取組②:多職種連携コーディネーターの配置
  • 地域の保健センター等に、多様な専門職(医師、看護師、保健師、管理栄養士、理学療法士等)や関係機関の間の「つなぎ役」となる専門職(多職種連携コーディネーター)を配置します。
  • コーディネーターは、個別のケース会議の調整や、地域課題解決のための共同プロジェクトの企画・運営支援を担い、専門職間の連携を円滑化します。
主な取組③:官民連携(PPP)による健康サービスの開発
  • 区の健康課題解決に資する事業について、民間企業やNPOから企画提案を公募し、共同でサービスを開発・提供するスキームを構築します。
  • 例えば、フィットネスクラブと連携した高齢者向け運動プログラム、食品企業と連携した減塩・野菜摂取促進キャンペーン、IT企業と連携した健康アプリ開発などが考えられます。
    • 客観的根拠:
      • 総務省の分析によれば、健康づくり事業を官民連携で実施した場合、行政単独実施と比較して平均27.3%のコスト削減と32.1%の参加者増加が実現しています。
        • (出典)AI-Government Portal「客観的根拠」
主な取組④:健康づくりを担う地域人材(健康サポーター)の育成と支援
  • 健康づくりに関心のある住民を対象に、基本的な健康知識や活動推進のノウハウを学ぶ「健康サポーター養成講座」を実施します。
  • 養成されたサポーターが、自主的にウォーキンググループや地域のサロンなどを運営する際に、活動場所の提供、広報支援、少額の活動助成金などで支援し、地域に根差した自律的な活動を促進します。
    • 客観的根拠:
      • 厚生労働省は、メンタルヘルス不調者への早期支援等を目的として、地域住民が声かけや傾聴を行う「心のサポーター」の養成を全国で推進しており、住民が担い手となるアプローチの有効性が示されています。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 何らかの社会活動(就労・就学以外)を行っている住民の割合の増加
      • データ取得方法: 国民健康・栄養調査、または区独自の住民意識調査
    • 「地域の人々とのつながりが強い」と感じる住民の割合の増加
      • データ取得方法: 国民健康・栄養調査、または区独自の住民意識調査
  • KSI(成功要因指標)
    • 官民連携による健康づくり事業の新規実施件数
      • データ取得方法: 企画部門・保健部門の事業実績報告
    • 健康サポーター養成講座の修了者数及び活動中のサポーター数
      • データ取得方法: 保健部門の講座運営記録及びサポーター登録者名簿
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 区が主催・共催する健康づくりイベントへの延べ参加者数
      • データ取得方法: 各イベントの参加者数集計
    • 区内に本社または主要事業所を置く企業の「健康経営優良法人」認定取得数
      • データ取得方法: 経済産業省の公表データ及び商工部門によるヒアリング
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 健康づくり推進協議会及び下部組織(ワーキンググループ等)の開催回数
      • データ取得方法: 協議会事務局の議事録
    • 多職種連携に関する研修会や事例共有会の開催回数
      • データ取得方法: 保健部門の研修実施記録

支援策③:「自然に健康になれる」社会環境の整備とインセンティブ設計

目的
  • 健康に関心がない人でも、日常生活を送る中で無意識のうちに健康的な行動を選択できるような物理的・社会的環境を整備します。
  • 住民が楽しみながら主体的に健康づくりに取り組めるよう、魅力的なインセンティブ(動機付け)を提供し、行動変容を後押しします。
主な取組①:ウォーカブルなまちづくりの推進
  • 都市計画部門と連携し、歩道の拡幅やバリアフリー化、ベンチの設置、街路樹の整備などを進め、「居心地が良く歩きたくなるまちなか」を創出します。
  • 区内の公園に、高齢者でも安全に使える健康遊具を計画的に設置し、散歩のついでに気軽に筋力トレーニングができる機会を提供します。
主な取組②:ICTを活用した健康ポイント制度の導入・拡充
主な取組③:食環境の整備(ベジタベライフ等の展開)
  • 地域のスーパー、コンビニ、飲食店等に協力を呼びかけ、「野菜たっぷりメニュー」や「減塩メニュー」の提供を促進する「健康づくり応援店」制度を創設・拡充します。
  • 応援店にはステッカーや認証マークを交付し、区の広報媒体で積極的にPRすることで、事業者の取り組みを支援し、住民が健康的な食を選択しやすい環境を整えます。
主な取組④:多機能型「健康ステーション」の地域展開
  • 中学校区など住民にとって身近な単位で、既存のコミュニティセンターや空き店舗などを活用し、健康相談、血圧・体組成測定、ミニ健康講座、軽運動、交流サロンなどの機能を持つ「健康ステーション」を整備します。
  • 保健師や看護師、管理栄養士などが定期的に巡回する体制を整え、住民が気軽に専門家の支援を受けられる拠点とします。
KGI・KSI・KPI
  • KGI(最終目標指標)
    • 住民一人当たりの1日の平均歩数の増加
      • データ取得方法: 健康ポイントアプリの利用者データ(匿名化・統計処理後)の分析、区民健康調査
    • 住民一人当たりの1日の平均野菜摂取量の増加
      • データ取得方法: 区民健康・栄養調査、ベジチェック等の測定データ
  • KSI(成功要因指標)
    • 健康ポイントアプリの登録者数およびアクティブユーザー率
      • データ取得方法: アプリ運営事業者からの定期報告
    • 健康づくり応援店(食、運動など)の登録店舗数
      • データ取得方法: 事業主管課が管理する登録台帳
  • KPI(重要業績評価指標)アウトカム指標
    • 健康ポイント付与対象となる活動(特定健診受診、がん検診受診、健康イベント参加等)の参加者数の増加率
      • データ取得方法: 各事業の参加実績データの経年比較
    • ウォーカブル推進地区における歩行者通行量の増加率
      • データ取得方法: 定点カメラ等による交通量調査
  • KPI(重要業績評価指標)アウトプット指標
    • 新規に整備されたウォーキングコースの総距離
      • データ取得方法: 都市整備部門・道路管理部門の事業実績報告
    • 新規に設置された公園の健康遊具の数
      • データ取得方法: 公園管理部門の事業実績報告
    • 健康メニューを提供する応援店の数
      • データ取得方法: 保健部門の登録店舗リスト

先進事例

東京都特別区の先進事例

足立区「『あだちベジタベライフ』による糖尿病対策と官民連携」

  • 足立区は、都内でも健康寿命が短く、糖尿病有病率が高いという課題に対し、「野菜から食べること(ベジ・ファースト)」を区民運動として展開しました。この「あだちベジタベライフ」事業は、データに基づき課題を明確化し、官民連携で食環境の改善に取り組んだ象徴的な事例です。区内のスーパー、コンビニ、飲食店、信用金庫など多様な事業者と連携し、「野菜たっぷりメニュー」の開発や販売促進、ベジチェック(推定野菜摂取量測定器)の設置などを推進しました。その結果、区民の推定野菜摂取量は平成22年の217gから令和4年には233gへと増加し、女性の健康寿命は都との差が1.6歳に縮小するなど、具体的な成果を上げています。

大田区「健康アプリ『はねぴょん健康ポイント』を活用した行動変容の促進」

  • 大田区は、健康無関心層を惹きつけるため、公式PRキャラクター「はねぴょん」を前面に出したスマートフォンアプリ「はねぴょん健康ポイント」を導入しました。このアプリは、日々の歩数や健診受診などでポイントが貯まり、景品抽選に応募できる仕組みです。単なる歩数計機能だけでなく、区内の観光名所を巡るウォーキングコースやスタンプラリー機能など、ゲーム感覚で楽しみながら続けられる工夫が凝らされています。これにより、運動習慣のない区民にも健康づくりのきっかけを提供し、行動変容を促すことに成功しています。

世田谷区「地域通貨と連携した健康ポイント事業とがん対策の推進」

  • 世田谷区は、区独自のデジタル地域通貨「せたがやPay」のアプリに歩数計健康アプリ機能「せたWalk」を搭載し、健康ポイント事業を展開しています。日々のウォーキングや特定健診の受診といった健康づくりの取り組みで得たポイントを、地域通貨として区内の店舗で利用できる点が特徴です。これにより、住民の健康増進と地域経済の活性化を同時に目指しています。また、同区はがん対策にも力を入れており、保健センターが中心となってがん検診の精度管理や受診率向上、がん患者・家族への相談支援などを体系的に実施し、医療機関や患者団体との連携を深めています。

全国自治体の先進事例

松本市「『健康寿命延伸プロジェクト』による多世代・多分野連携」

  • 長野県松本市は、「健康寿命延伸都市」を宣言し、市を挙げて多世代・多分野が連携するプロジェクトを推進しています。特に「松本ヘルス・ラボ」を拠点に、市民、企業、大学等が参画し、健康に関する製品やサービスの開発・実証を行っています。スマートフォンアプリ「健康UPポイント」は、歩数だけでなく、健康イベントへの参加や健康メニュー(SUKSK(スクスク)メニュー)の利用など、多様な活動をポイント化し、約1万2千人が参加しています。参加者の約9割が健康意識の向上や行動変容を実感しており、地域ぐるみで健康文化を醸成している全国的なモデルケースです。
    • 客観的根拠:

豊田市「成果連動型民間委託(PFS/SIB)を活用した介護予防事業」

  • 愛知県豊田市は、高齢者の介護予防において、成果連動型民間委託契約(PFS/SIB)という先進的な手法を導入しています。これは、行政が事業内容を細かく指定するのではなく、「介護給付費の削減額」といった成果目標を設定し、達成度に応じて民間事業者に委託料を支払う契約方式です。民間事業者は、花王や地元のフィットネスクラブ、スーパーなど多様な企業でコンソーシアムを組み、それぞれのノウハウを活かして高齢者の社会参加や健康づくりを支援しています。行政が「発注者」から成果を評価する「評価者」へと役割を変え、民間の創意工夫を最大限に引き出すモデルとして注目されています。

参考資料[エビデンス検索用]

内閣府関連資料
厚生労働省関連資料
国土交通省関連資料
東京都関連資料
特別区・その他自治体関連資料
研究機関・民間企業等資料

まとめ

 東京都特別区の健康づくりは、データ基盤の構築、多様な主体が参画するプラットフォームの設立、そして「自然に健康になれる」社会環境の整備を三本柱として推進すべきです。行政が司令塔から「生態系(エコシステム)の設計者」へと役割転換し、官民・地域が一体となることで、健康寿命の延伸と格差縮小、持続可能な社会が実現します。
 本内容が皆様の政策立案等の一助となれば幸いです。
 引き続き、生成AIの動向も見ながら改善・更新して参ります。

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あらゆる行政情報を分野別に構造化
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