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優先順位を決める!説明資料から情報量を落とす技術

masashi0025

はじめに

 行政の説明資料は、たいてい情報が多すぎます。念のため、参考までに、誤解のないように。そうやって情報を足していくうちに、資料は分厚くなり、肝心のメッセージは、周辺情報の海に沈みます。読み手は、どこを見ればよいのか分からず、結局、何も頭に残りません。情報を盛ることは、丁寧さのようでいて、しばしば、伝える責任の放棄です。

 結論から言えば、伝わる資料をつくる技術の核心は、情報を足すことではなく、優先順位をつけて落とすことにあります。何を載せるかを決めることは、裏を返せば、何を落とすかを決断することです。そしてその決断は、目的から逆算した優先順位づけにほかなりません。目的にとって主役の情報を残し、脇役は別紙へ、不要なものは消す。この取捨選択こそが、資料づくりの本体です。

 この記事では、なぜ情報を盛りすぎてしまうのか、情報量を落とすとは優先順位を決めることだという原則、一資料一メッセージの考え方、情報の取捨・構造・文章という三つの層での落とし方、そして落としてはいけない一線までを、行政文書の悪い例と改善例の対比で解説します。

なぜ、情報を盛りすぎてしまうのか

 情報を盛りすぎる背景には、たいてい不安があります。「これを書かないと、後で聞かれるかもしれない」「省いて、不親切だと思われたくない」。この不安が、留保と補足と参考情報を、次々と資料に呼び込みます。結果として、書き手の不安が、そのまま読み手の負担に転嫁されます。読み手は、書き手が安心するために盛った情報まで、すべて読まされることになるのです。

 しかし、考えてみてください。すべてを盛った資料と、要点だけに絞った資料と、上司や議会が信頼するのはどちらでしょうか。多くの場合、後者です。要点に絞れているということは、書き手がその案件を理解し、何が重要かを判断できている証拠だからです。情報を落とせないのは、優しさではなく、しばしば、まだ考え切れていないことの表れなのです。

情報量を落とすとは、優先順位を決めること

 情報量を落とす作業は、単なる削減ではありません。それは、この資料の目的にとって、どの情報が主役で、どれが脇役かを判定する、優先順位づけの作業です。だから、落とす前に、まず問うべきは「この資料は、誰に、何を判断してもらうためのものか」です。目的が定まれば、情報は自然と三つに仕分けられます。目的に直結する主役の情報、あれば理解を助ける脇役の情報、そして目的に関係しない不要な情報です。

 主役は本体に大きく置き、脇役は別紙や参考資料に回し、不要なものは思い切って消す。この仕分けができれば、資料は劇的に軽くなります。逆に、この優先順位づけを飛ばして、いきなり文章を短くしようとすると、大事な情報まで削ってしまったり、些末な情報を磨き込んだりする、力の配分ミスが起きます。情報量を落とす技術は、文章術である前に、優先順位を決める判断力なのです。

一つの資料に、一つのメッセージ

 優先順位づけの、いちばんシンプルな指針が、一資料一メッセージです。その資料を通じて、読み手にたった一つだけ持ち帰ってもらうとしたら、それは何か。この問いに一文で答えられないうちは、まだ情報が絞れていません。一枚の資料に、制度の仕組みと、現状の課題と、将来像と、他団体比較を全部盛り込めば、どれも中途半端になり、結局、何も伝わりません。

 メッセージが一つに定まれば、載せるべき情報も自ずと決まります。そのメッセージを支える情報だけを残し、支えない情報は、どれほど正しくても、その資料からは落とす。複数のメッセージを伝えたいなら、資料を分ける。一枚に詰め込むより、目的別に分けたほうが、それぞれが鋭くなります。冒頭に置く一枚の図解も、この原則の上に成り立っています。

三つの層で、情報量を落とす

 情報量を落とす作業は、大きい単位から小さい単位へと進めると、効率的です。まず情報そのものの取捨、次に構造(段落)の贅肉、最後に文章の贅肉。この順で落とすのが基本です。

第一の層:情報そのものを取捨する

 最も効果が大きいのが、情報そのものの取捨です。前述の優先順位づけに沿って、目的を支えない情報を、丸ごと別紙に回すか、削除します。詳細な経緯、網羅的なデータ、細かな例外規定。これらは、必要な人が必要なときに参照できるよう別紙に置き、本体からは外す。本体に残すのは、判断に効く情報だけです。ここで大きく落とせれば、後の作業はぐっと楽になります。逆に、この層で落とさずに文章だけ短くしても、資料の分厚さは変わりません。

第二の層:構造の贅肉を落とす

 次に、段落の単位で落とします。第一に、一般論の前置きです。「少子高齢化が進展し、住民ニーズが多様化する中で」という枕は、本題への到達を遅らせるだけなら、削除の候補です。マクロの記述が必要なのは、それが本文の論理に接続している場合だけです。第二に、同じ内容の繰り返しです。概要で述べたことを本文で繰り返し、まとめで三度書く。段落にそれぞれ固有の役割(概要は全体像、本文は根拠と詳細、まとめは判断と次の行動)を与え、同じ情報の再登場を許さない。第三に、経緯の物語化です。時系列の詳述は別紙に逃がし、本文には、判断に効く経緯だけを残します。

第三の層:文章の贅肉を落とす

 最後に、文と語句の単位で落とします。まず、一文一義です。「〇〇については、近年△△という状況にあることから、□□を実施することとし、あわせて××についても検討を進めることとしたので、ご了知願います」。この一文には、状況・決定・検討・依頼の四つが詰まっています。分割するとこうなります。「〇〇は、近年△△という状況にあります。このため、□□を実施します。あわせて、××の検討を進めます。ご了知願います」。情報は一つも減っていませんが、読む負荷は激減します。目安は一文60字。超えたら、接続助詞(〜することから、〜とともに)を分割の切れ目にします。

 あわせて、定型の贅肉を機械的に落とします。重複表現(「まず最初に」「あらかじめ予定」)はどちらか一方に。空回りの強調(「積極的に推進する」「しっかりと取り組む」)は、具体的な行動を書けば不要になります。二重否定(「実施しないわけではない」)は肯定形に。過剰な名詞化(「検討を行う」→「検討する」、「周知を図る」→「周知する」)も、音数を2〜3割膨らませる原因です。そして、範囲を曖昧にする「等」の乱用。「関係部署等と調整の上」の「等」は、誰と調整するのか決めていない告白であることが少なくありません。

落としてはいけない、一線

 情報量を落とす技術には、守るべき一線があります。行政文書の留保や条件には、法的・実務的な意味を持つものがあるからです。「原則として」は例外の存在を予告し、「〜の範囲内で」は権限や予算の限界を示し、「別に定める」は下位規範への委任を意味します。これらを、読みやすさのために落とせば、文書の正確性が壊れ、実害が出ます。軽さと正確さがぶつかるときは、正確さを優先する。これが公的文書の鉄則です。

 落とした後の点検は、三項目です。条件・範囲は落ちていないか。主体(誰がやるのか)は消えていないか。断定してはいけない未確定事項を、断定に変えていないか。情報量を落とす技術の到達点は、短くて雑な資料ではなく、必要なことだけが残った資料です。そして、どれが「必要なこと」かを見極める力は、制度と実務の理解に比例します。落とす技術は、結局のところ、業務理解の深さに支えられているのです。

読者によって、落とす量を変える

 どこまで落とすかは、読者によっても変わります。上司への一枚なら、判断に効く要点だけまで大胆に落とす。議会向けなら、防御のために出典や注記は残しつつ、本文の論旨は絞る。住民向けなら、専門用語や制度の詳細は思い切って落とし、生活に関わる一点に絞り込む。同じ案件でも、読者が変われば、主役の情報も、落とすべき脇役も変わります。

 ここで効くのが、前回までに述べた、相手の期待を捉える力です。この読者は、何を知りたくて、何は知らなくてよいのか。それが分かれば、落とす量は自然と決まります。落とす技術とは、書き手の都合で削ることではなく、読み手にとっての優先順位に沿って、情報を最適な量に整えることなのです。

AI時代の、情報量の管理

 生成AIは、文章を「増やす」のは得意ですが、放っておくと、丁寧で網羅的な、つまり長い文章を出しがちです。指示しなければ、AIはむしろ情報を盛る方向に働きます。だからこそ、AI時代には、落とす判断の価値が上がります。AIに草案を作らせたうえで、「この資料の目的は一つ、要点だけに絞って」「この段落は削って」と、優先順位に沿って落としていく。増やすのはAI、絞るのは人間、という役割分担です。

 情報が無限に安く手に入る時代には、何を集めるかより、何を捨てるかが、いっそう重要になります。読み手の時間と注意は、有限だからです。落とす技術は、情報過多の時代に、伝える力を保つための、ますます不可欠なスキルになっていきます。

分厚い資料が、一枚になるまで

 情報量を落とす作業を、一つの流れで追ってみます。ある事業の説明資料が、当初は10ページありました。事業の沿革、関連法令の逐条、全国の類似事例の一覧、詳細な予算内訳、想定される質問への回答集。どれも「念のため」に入れたものです。しかし、この資料の目的は、来年度の予算措置について、上司の判断を仰ぐことでした。ならば、判断に必要なのは、なぜ今この事業が必要か、いくらかかるか、やらないとどうなるか、の三点です。

 この三点を主役に、一枚に再構成します。沿革と逐条は別紙へ、事例一覧は参考資料へ、質問回答集は手元の想定問答へ。本体に残すのは、必要性を示す現場の数字、予算額とその根拠、そして先送りした場合の将来コスト。10ページが1枚になり、しかも、判断に必要な情報は一つも欠けていません。むしろ、余計な情報が消えたぶん、論点が際立ちます。分厚さは、丁寧さではなく、優先順位づけを放棄した結果だったのです。

捨てる勇気の、心理的なハードル

 情報を落とせない最大の理由は、技術ではなく、心理です。せっかく何時間もかけて調べた情報を、資料から外すのは、努力を捨てるようで惜しい。この感覚は自然なものですが、危険でもあります。自分がかけた手間と、読み手にとっての価値は、別物だからです。三時間かけて作った表でも、読み手の判断に不要なら、それは本体から外すべきものです。かけた労力に引きずられて情報を残すのは、読み手ではなく、自分のための資料づくりです。

 ここで発想を変えると、楽になります。落とすことは、情報を「捨てる」ことではなく、「別の場所に置く」ことです。調べた情報は、別紙や手元のメモとして残る。本体に載せないだけで、必要なときには取り出せます。だから、安心して本体から外せる。読み手のために取捨選択できるかどうかは、プロとアマチュアを分ける一線です。自分の努力の跡ではなく、読み手の判断を中心に据える。その視点の切り替えが、捨てる勇気の正体です。

別紙と参考資料を、うまく設計する

 落とした情報の受け皿になるのが、別紙と参考資料です。ここを上手に設計すると、本体を軽くしつつ、情報の網羅性も確保できます。原則は、本体は判断のための資料、別紙は根拠と詳細のための資料、という役割分担です。本体で「詳細は別紙〇参照」と一言触れておけば、必要な人は別紙をたどれます。すべてを本体に載せなくても、情報は失われません。

 別紙を作るときのコツは、本体の流れと別紙の順番を対応させ、参照しやすくすることです。本体の各項目に、対応する別紙の番号を振っておく。こうすれば、議会や査定で細部を問われても、「別紙〇の△ページをご覧ください」と即座に案内できます。本体の軽さと、別紙の網羅性。この二段構えが、行政資料の理想形です。軽い本体は伝わりやすく、厚い別紙は問いに耐える。両方を、別の資料として持つことで、伝わりやすさと守りの固さを、同時に手に入れられます。

会議で配る資料と、後で読む資料は違う

 情報量の適量は、資料の使われ方によっても変わります。会議の場でその場で見る資料は、一瞬で要点が飛び込んでくる必要があり、情報量は思い切って絞ります。文字が詰まった資料を会議で配れば、参加者は読むことに気を取られ、議論が止まります。一方、後で一人で読み返す保存資料や、問い合わせに備える資料は、多少情報量が多くても、検索性と網羅性が優先されます。

 同じ内容でも、会議用と保存用を分けて作る、あるいは、会議では要点版を配り、詳細版は後で共有する、という使い分けが有効です。よくある失敗は、この二つを一つの資料で兼ねようとして、会議には情報が多すぎ、保存には情報が足りない、という中途半端に陥ることです。誰が、いつ、どんな状況で読むのか。その使われ方を思い描いてから、情報量を決める。落とす技術は、読み手の読む状況まで想像して、初めて的確になります。

見出しと余白で、情報を設計する

 情報量を落とすことと同じくらい大切なのが、残した情報の配置です。同じ分量でも、見出しの階層が整い、適切な余白があり、強調が効いている資料は、はるかに速く読めます。逆に、要点を絞っても、びっしり詰まった一枚は、読み手を疲れさせます。落とす技術の仕上げは、残した情報を、読み手の目が自然に流れるように配置することです。

 具体的には、大見出しで全体の構造を示し、要点は箇条ではなく短い段落で、最も見てほしい数字や結論は、位置と強調で目立たせる。余白は、情報がない場所ではなく、読み手の目を休ませ、要点を引き立てる、意味のある空間です。情報を落とし、残したものを配置する。この二つがそろって、資料は「伝わる」ものになります。優先順位をつけて落とす技術は、最終的に、読み手の視線を設計する技術へとつながっているのです。

自分の資料を、半分にする演習

 直近に書いた通知文か説明資料を開き、次の手順で落としてください。第一段階、目的を一文で書き、その目的を支えない情報を別紙に移すか消す。第二段階、段落の役割を確認し、前置きと重複を落とす。第三段階、一文60字の物差しを当て、超える文を分割し、贅肉の五類型(重複・空虚な強調・二重否定・名詞化・等)を潰す。最終段階、条件・範囲・主体が落ちていないかを点検する。

 多くの場合、この手順で情報量は三〜四割減り、読み手の理解速度は体感で倍になります。そして、係で回す資料にこの手順を共有すれば、落とす文化は個人技から組織の標準へと育ちます。一人が絞れるようになるより、係全体の資料が軽くなるほうが、組織の生産性への効果は、はるかに大きいのです。

まとめ

 説明資料から情報量を落とす技術は、目的から優先順位を決め、一資料一メッセージに絞り、情報の取捨・構造の贅肉・文章の贅肉という三つの層で落とし、落としてはいけない条件と正確性を守り、読者に応じて落とす量を調整することで構成されます。情報を盛ることは丁寧さに見えて、多くの場合、読み手への負担の転嫁であり、考え切れていないことの症状です。

 落とす過程で、あなたは、自分が本当に伝えたい一つのことに出会います。そして、絞られた資料は、それ自体が「この人は分かっている」という信頼を生みます。AIが情報を盛りがちな時代だからこそ、優先順位をつけて落とす判断が、伝える力の中心になります。まずは今日の一枚から、「この資料の目的は一文で何か」「支えない情報はどれか」を問うてみてください。

 ※本コンテンツは生成AIを活用して作成しています。

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