2025.07.19 02 社会経済状況 【2025年7月22日】行政関連ニュースと政策立案のヒント masashi0025 目次 社会経済状況消費者物価指数(全国2025年6月分)の動向自治体経営品川区、ふるさと納税返礼品に人気洋菓子などを追加環境政策中野区、食品ロス削減を目指す「夏休み親子クッキング」を開催豊島区、大学施設を熱中症対策の「クールシェアスポット」として開放DX政策東京都、「保活ワンストップサービス」を19自治体に拡大墨田区、マイナンバーカードによるコンビニ交付手数料を期間限定で10円に引き下げ目黒区、利用する電子申請サービスへの不正アクセス被害を公表国土交通省、地域交通DX推進プロジェクト「COMmmmONS」を始動総務管理品川区、受託事業者による国民健康保険通知の印字誤りを発表生活安全政策世田谷区、ふるさと納税を活用した犯罪被害者支援クラウドファンディングを開始子育て、子ども政策江東区、こども議会で中学生がAI活用教育などを提案中野区、区内児童館の紹介動画を公開福祉政策杉並区、「すぎなみ福祉サーチ」運用開始と「合理的配慮ガイドブック」作成健康、保健政策目黒区、大塚製薬と健康づくりに関する包括連携協定を締結多文化共生政策港区、パリ市15区との友好都市提携を記念しフランス料理給食を提供文化政策荒川区、吉村昭記念文学館で戦後80年をテーマにしたトピック展示を開催まちづくり、インフラ整備政策目黒区、木造住宅密集地域における公園整備を推進葛飾区、高砂地区まちづくり方針の意見募集を開始社会経済状況 消費者物価指数(全国2025年6月分)の動向 概要 出典 総務省統計局 1 ニュース概要 総務省が発表した2025年6月分の全国消費者物価指数(2020年基準)は、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比で上昇しました。エネルギー価格や食料品の値上がりが継続しており、国民の生活コストへの影響が続いています。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 物価動向は、住民の生活に直結する最も重要な経済指標の一つです。特に、収入に占める食費や光熱費の割合が高い低所得者層や高齢者世帯への影響が大きいため、行政がその動向を継続的に監視し、必要な対策を講じる責務があります。 具体的なアクション 国の経済対策(例:定額減税補足給付金)の円滑な実施に加え、区独自の生活困窮者支援、子育て世帯への臨時給付、プレミアム付商品券の発行といった、地域の実情に応じた生活支援策を検討・実施します。 行政側の意図 物価高騰による区民の経済的・心理的負担を軽減し、セーフティネットを確保する意図があります。区民生活の安定を図るとともに、地域内での消費を喚起し、区内経済の循環を支える狙いも含まれます。 期待される効果 区民の可処分所得の実質的な目減りを緩和し、生活の安定に寄与します。また、地域内での消費活動が下支えされ、区内事業者の経営安定にも繋がることが期待されます。 課題・次のステップ 支援策が真に必要な層へ的確に届くような制度設計と、迅速な給付体制の構築が課題です。また、物価動向や地域経済への影響を継続的に分析し、支援策の効果を検証し、必要に応じて見直しを行う必要があります。 特別区への示唆 各区は、国の経済指標を自区の状況に当てはめて分析し、独自の支援策の必要性や規模、タイミングを判断するための基礎情報として活用すべきです。福祉、産業振興など部署横断で情報を共有し、総合的な対策を立案することが求められます。 自治体経営 品川区、ふるさと納税返礼品に人気洋菓子などを追加 概要 出典 品川区 プレスリリース 6 ニュース概要 品川区は、ふるさと納税の返礼品に、区内に店舗を構える人気洋菓子店の「Mr.CHEESECAKE」などを新たに追加しました。区の魅力を発信し、寄付獲得の強化を図る取り組みです。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 ふるさと納税制度において、農水産物などのいわゆる「名産品」に乏しい都市部の自治体は、独自の魅力を発信する必要に迫られています。区内に存在する商業・文化的な資産を返礼品として活用し、都市の魅力をアピールします。 具体的なアクション 区内の事業者と連携し、メディア露出が多く知名度の高い人気商品や、質の高いサービス(食事券、体験等)をふるさと納税の返礼品として開発・登録します。 行政側の意図 「モノ」だけでなく、洗練された都市型ライフスタイルや「質の高い消費体験」といった価値を提供することで、他の自治体との差別化を図る狙いです。これにより、新たな寄付者層の開拓を目指します。 期待される効果 寄付額の増加に加え、返礼品を通じて区内事業者の知名度向上や販路拡大に繋がり、地域経済の活性化に貢献することが期待されます。区のブランドイメージ向上にも寄与します。 課題・次のステップ 返礼品の魅力度を維持・向上させるため、常に新たな事業者や商品を開拓し続ける必要があります。また、返礼品提供事業者への支援や、寄付者への円滑な配送体制の管理も重要となります。 特別区への示唆 品川区の事例は、都市部におけるふるさと納税戦略の好例です。各区は、自区の持つ「都市的資産」(食、文化、エンターテインメント、体験サービス等)を再評価し、それを返礼品として戦略的に活用することで、寄付獲得競争での優位性を築くことができます。 環境政策 中野区、食品ロス削減を目指す「夏休み親子クッキング」を開催 概要 出典 中野区 公式サイト 9 ニュース概要 中野区は、家庭での食品ロス削減をテーマに、余った食材を活用したレシピを学ぶ「夏休み親子クッキング」を開催します。新渡戸文化短期大学との連携事業で、小学生とその保護者を対象としています。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 食品ロスは大きな環境問題であり、その約半分は家庭から発生しています。住民一人ひとりの行動変容を促すため、特に食育に関心の高い親子層を対象に、楽しみながら学べる啓発機会を提供する必要があります。 具体的なアクション 地域の大学と連携し、専門的な知見や施設を活用して料理教室を企画・実施します。参加者には、後日自宅での実践レポートの提出を求め、学びを一過性のものにしない工夫を凝らします 9。 行政側の意図 「食品ロス削減」という環境政策のテーマを、「親子の夏の思い出作り」「SDGs教育」といった区民の関心が高いテーマと結びつけることで、参加のハードルを下げ、より多くの層にアプローチする狙いです。 期待される効果 参加した親子が家庭での食品ロス削減を実践するきっかけとなります。また、子どもの頃からの環境教育は、将来にわたる持続可能な行動習慣の定着に繋がることが期待されます。 課題・次のステップ 人気のあるイベントは、参加できる人数が限られることが課題です。イベントで紹介したレシピを区のウェブサイトや広報誌で公開するなど、参加者以外にも情報が広がるような工夫が求められます。 特別区への示唆 この事例は、環境、教育、子育て支援といった複数の政策分野を融合させた「政策のバンドル化」の好例です。単一の課題に個別に対応するのではなく、相乗効果を生むプログラムを設計することは、行政サービスの価値と効率を高める上で非常に有効な手法です。 豊島区、大学施設を熱中症対策の「クールシェアスポット」として開放 概要 出典 大正大学 お知らせ 10 ニュース概要 豊島区に所在する大正大学は、熱中症予防を目的として、大学の8号館1階を「クールシェアスポット(涼みどころ)」として地域住民に開放すると発表しました。期間中、誰でも自由に立ち寄り、涼むことができます。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 近年の猛暑は、特に高齢者などにとって命に関わる健康リスクとなっています。行政施設だけでなく、地域に存在する多様な資源を活用して、誰もがアクセスしやすい涼み場所を確保することは、気候変動適応策として重要です。 具体的なアクション 行政が地域の大学、商業施設、金融機関、寺社等に協力を呼びかけ、施設の一部を一時休憩場所として開放してもらう「クールシェア」の取り組みを推進します。 行政側の意図 行政が自ら施設を提供するだけでなく、地域内の潜在的な資源を掘り起こし、連携を促す「プラットフォーマー」としての役割を果たす意図があります。これにより、きめ細かく、広範なセーフティネットを構築します。 期待される効果 住民が外出先で気軽に涼める場所が増え、熱中症のリスクが低減します。また、地域施設が住民に開放されることで、地域コミュニティの活性化や、施設への親近感の醸成にも繋がります。 課題・次のステップ 協力施設の場所や開放時間を住民に分かりやすく周知することが重要です。地図アプリとの連携や、統一されたステッカーの掲示などが有効です。また、協力施設側の負担(光熱費、安全管理等)を軽減する支援策も検討課題となります。 特別区への示唆 この動きは、クールシェアが行政施設中心から「地域ネットワーク型」へと進化していることを示唆します。各区は、区内の多様な施設と連携協定を結ぶなどして、クールシェアの取り組みを組織的に拡大していくことが、住民の健康を守る上で効果的です。 DX政策 東京都、「保活ワンストップサービス」を19自治体に拡大 概要 出典 東京都 報道発表 11 ニュース概要 東京都は7月18日、保育施設の検索、見学予約、入所申請をオンラインで一括して行える「保活ワンストップサービス」を、板橋区、港区、足立区などを含む19自治体・1,070園に拡大しました。保護者の負担軽減を目指す「こどもDX」の一環です。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 保護者が行う「保活」は、情報収集や手続きが煩雑で大きな負担となっています。自治体を横断して利用できる統一的なデジタルプラットフォームを提供することで、この負担を抜本的に軽減し、子育てしやすい環境を整備する必要があります。 具体的なアクション 東京都が主導してシステム基盤を開発し、参加を希望する区市町村がそのプラットフォームを利用する形でサービスを展開します。民間事業者が運営する既存の保活サイトとも連携し、利便性を高めます 11。 行政側の意図 各自治体が個別に類似のシステムを開発する「二重投資」を避け、都が一括して開発・提供することで、行政全体の効率化とコスト削減を図る狙いです。また、都内全域で質の高いサービスを標準的に提供することを目指します。 期待される効果 保護者は、スマートフォン一つで時間や場所を問わず保活を進められるようになり、利便性が飛躍的に向上します。行政側も、申請受付業務の効率化やペーパーレス化が進みます。 課題・次のステップ サービスの認知度を向上させ、多くの保護者に利用してもらうための周知活動が重要です。また、参加自治体や対象保育園をさらに拡大し、都内全域をカバーすることが次の目標となります。 特別区への示唆 この事例は、都が広域的なDXプラットフォームを整備し、各区がそれに参加・活用するという「都のプラットフォーム戦略」を象徴するものです。各区は、自前主義に陥ることなく、都が提供する基盤を積極的に活用し、自区の住民サービス向上に繋げる視点が重要になります。 墨田区、マイナンバーカードによるコンビニ交付手数料を期間限定で10円に引き下げ 概要 出典 墨田区 公式サイト 14 ニュース概要 墨田区は、マイナンバーカードの利用促進と区民の利便性向上を目的に、令和7年12月1日から期間限定で、コンビニでの証明書交付サービスの手数料を1通10円に引き下げると発表しました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 行政手続きのデジタル化を推進するためには、その基盤となるマイナンバーカードの普及と、カードを利用したサービスの利用率向上が不可欠です。利用者に明確なメリットを提示し、行動変容を促す必要があります。 具体的なアクション 住民票の写しや印鑑登録証明書など、コンビニで取得可能な各種証明書の手数料を、区役所窓口(通常300円)より大幅に安い10円に設定します。 行政側の意図 手数料という直接的な経済的インセンティブを与えることで、区民を窓口からコンビニ交付へと強力に誘導する狙いです。これは、区民の利便性向上と同時に、窓口業務の混雑緩和と職員の業務負担軽減という行政内部の効率化を目的とした戦略的な投資です。 期待される効果 コンビニ交付の利用率が大幅に向上し、区民は時間や場所を選ばずに証明書を取得できるようになります。行政側は、窓口対応コストの削減が見込まれ、より専門的な相談業務等へ人的資源を再配分することが可能になります。 課題・次のステップ 期間限定の取り組みであるため、期間終了後も利用習慣が定着するかを注視する必要があります。また、デジタル機器の操作に不慣れな高齢者等への配慮として、窓口サービスも維持しつつ、丁寧な案内や支援を続けることが重要です。 特別区への示唆 この施策は、行動経済学でいう「ナッジ(nudge)」を応用した、巧みなDX推進策です。他の区においても、オンライン申請や電子納税など、利用を促進したいデジタルサービスに対して、同様の強力なインセンティブ設計を検討する価値は高いです。 目黒区、利用する電子申請サービスへの不正アクセス被害を公表 概要 出典 目黒区 公式サイト 15 ニュース概要 目黒区は7月18日、区が利用する外部の電子申請サービス「LoGoフォーム」で不正アクセスが発生し、利用者アカウント情報の一部が漏えいした可能性があると発表しました。区が管理する申請データ自体の漏えいはありませんでした。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 行政サービスの提供においてセキュリティインシデントが発生した場合、被害の有無や規模に関わらず、迅速かつ透明性の高い情報公開を行うことは、住民の信頼を維持し、二次被害を防ぐための行政の責務です。 具体的なアクション 不正アクセスの事実、漏えいした可能性のある情報の範囲、原因、サービス提供事業者による対応(経路遮断、パスワードリセット等)を速やかに公表し、利用者へ注意喚起を行います 16。 行政側の意図 事実を隠蔽せず、誠実に対応する姿勢を示すことで、行政への信頼損失を最小限に食い止める狙いです。また、原因究明と再発防止策を明らかにすることで、組織としての危機管理能力を示す意図もあります。 期待される効果 迅速な情報公開により、利用者はパスワードの変更など自衛策を講じることができ、被害の拡大防止に繋がります。 課題・次のステップ サービス提供事業者に対し、セキュリティ対策のさらなる強化を求めるとともに、区として外部委託先の選定基準や契約内容にセキュリティ要件を厳格に盛り込むなど、委託先管理体制(ガバナンス)の見直しが急務です。 特別区への示唆 この事案は、自治体DXが進む中で、外部のSaaS(Software as a Service)を利用する際のリスク、すなわち「サプライチェーン・リスク」を明確に示しています。自庁のセキュリティだけでなく、委託先の管理体制こそが、行政サービスの安全性を左右する重要な要素となっています。 国土交通省、地域交通DX推進プロジェクト「COMmmmONS」を始動 概要 出典 国土交通省 報道発表 17 ニュース概要 国土交通省は、地域の交通課題解決を目指すDX推進プロジェクト「COMmmmONS」を開始しました。デジタル技術を活用し、交通サービスやデータの「サイロ化(分断)」を解消し、MaaS(Mobility as a Service)等の普及を後押しします。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 人口減少社会において、地域交通の維持は全国的な課題です。特に、交通事業者やサービスごとにデータやシステムが分断されている現状では、利用者本位の効率的なサービス提供が困難なため、国が主導して標準化と連携を促進する必要があります。 具体的なアクション サービス、データ、マネジメント、ビジネスプロセスの4つの柱で、課題解決のベストプラクティスを創出し、その成果の標準化と横展開を推進します。スタートアップや自治体、交通事業者が参加するピッチイベントなども開催します 17。 行政側の意図 各地域が個別にDXに取り組む非効率をなくし、国が共通の基盤やルール(Code)を提供することで、全国どこでも高度なモビリティサービスが展開できる社会基盤(Commons)を構築する狙いです。 期待される効果 交通空白地帯の解消や、高齢者等の交通弱者の移動支援に繋がります。また、多様な交通手段がシームレスに連携することで、利用者の利便性が向上し、公共交通の利用促進が期待されます。 課題・次のステップ プロジェクトで創出されたモデルを、財政状況や地域特性が異なる様々な自治体で実装着実に展開していくための、実装支援の仕組みづくりが課題となります。 特別区への示唆 この国のプロジェクトは、特別区が抱えるコミュニティバスの運営効率化、交通不便地域の解消、区境を越えた広域連携といった課題への解決策を提供する可能性があります。各区は、このプロジェクトの動向を注視し、自区の課題解決に活用できる技術やモデルを積極的に導入・連携していく視点が重要です。 総務管理 品川区、受託事業者による国民健康保険通知の印字誤りを発表 概要 出典 品川区 報道発表 19 ニュース概要 品川区は7月18日、国民健康保険に関する通知の印刷・発送を委託した事業者が、対象者の氏名(外字)を誤って印字したまま発送したと発表しました。原因は受託事業者による確認不足とされています。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 行政事務において個人情報の誤記や誤送付が発生した場合、速やかに関係者に謝罪し、事実関係を公表することは、行政の信頼性を維持するための基本動作です。原因を究明し、再発防止策を講じる責務があります。 具体的なアクション 事案の発生を覚知後、直ちに対象者へ謝罪するとともに、報道機関向けに事実を公表します。原因となった受託事業者に対しては、原因究明と再発防止策の徹底を指示します 19。 行政側の意図 ミスを隠蔽せず、迅速かつ誠実に対応する姿勢を示すことで、区民の不安を和らげ、行政への信頼低下を最小限に抑える狙いがあります。 期待される効果 適切な事後対応により、区民の理解を得るとともに、同様のミスが再発しないよう、業務プロセス改善のきっかけとすることができます。 課題・次のステップ 委託業務の仕様書に品質管理に関する項目をより具体的に盛り込む、定期的な監査を実施するなど、外部委託先の監督・管理体制を抜本的に見直す必要があります。 特別区への示唆 目黒区の不正アクセス事案と併せて見ると、行政サービスの外部委託におけるリスク管理の重要性が浮き彫りになります。デジタル(セキュリティ)とアナログ(印刷品質)の違いはあれど、本質的な課題は「委託先ガバナンス」です。全庁的に外部委託契約の内容や管理体制を点検し、強化することが求められます。 生活安全政策 世田谷区、ふるさと納税を活用した犯罪被害者支援クラウドファンディングを開始 概要 出典 世田谷区HP 2 ニュース概要 世田谷区は、ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」と連携し、犯罪被害者を支援するためのクラウドファンディングを7月18日に開始しました。目標額100万円で、寄付金は相談や付き添い等の支援活動に充当されます。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 犯罪被害者支援は、誰もが直面しうるリスクに対する重要なセーフティネットです。しかし、専門性が高く対象者が限定されるため、従来の予算配分では十分な財源確保が難しい場合があります。そこで、新たな財源確保手法として、共感を基盤とするクラウドファンディングを活用します。 具体的なアクション ふるさと納税の仕組みを活用し、使途を「犯罪被害者支援」に明確に限定したプロジェクトを立ち上げ、ポータルサイトを通じて広く寄付を募集します。寄付金は新たに創設する基金で管理します 5。 行政側の意図 返礼品目当てではない、純粋な「共感」や「応援」の気持ちを寄付に繋げる狙いがあります。これにより、財源確保と同時に、犯罪被害者支援への社会的理解を深め、支援の輪を地域に広げることを目指しています。 期待される効果 安定的な財源が確保され、被害者に寄り添った継続的な支援(相談、付き添い等)の充実が期待されます。また、区民や区外の人々が地域の課題解決に直接参加する機会を創出し、シビックプライドの醸成にも繋がります。 課題・次のステップ 目標額達成に向けた効果的な広報戦略が重要です。また、寄付者に対して、寄付金がどのように活用され、どのような成果に繋がったかを具体的に報告し、透明性と信頼性を確保し続ける必要があります。 特別区への示唆 このモデルは、ふるさと納税を税収確保だけでなく、特定の社会的課題解決のための資金調達(ソーシャルファイナンス)手段として活用する先進事例です。他の特別区でも、動物愛護、文化財保護、若者支援など、共感を呼びやすいテーマで応用可能です。 子育て、子ども政策 江東区、こども議会で中学生がAI活用教育などを提案 概要 出典 江東区 報道発表 24 ニュース概要 江東区で、区立中学校の代表生徒が「こども議員」として政策提言を行う「こども議会」が開催されました。生徒からは「AIを活用した学習の導入」や「多様な個性を持つ人とのふれあい」など、6つのテーマで提案がありました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 「こどもまんなか社会」の実現には、子どもを単なる「保護の対象」としてではなく、権利の主体として尊重し、意見を政策に反映する仕組みが必要です。こども議会は、子どもの意見表明権・参加権を保障する具体的な取り組みです。 具体的なアクション 区内の中学生を「こども議員」として任命し、グループワークを通じて政策提案をまとめ、区長や教育長、関係部局長に対して発表・質疑応答を行う場を設けます。 行政側の意図 子どもたちの新鮮で率直な視点を政策立案に取り入れることで、行政サービスの質の向上を図る狙いです。また、子どもたちが地域の課題に関心を持ち、主権者意識を育むシティズンシップ教育としての側面も重視しています。 期待される効果 子どもたちの自己肯定感や社会参画への意欲が高まります。行政側は、大人の視点だけでは気づきにくい課題やニーズを把握でき、より実効性の高い子ども政策の立案に繋がります。 課題・次のステップ 提案された意見を、どのように実際の政策や事業に反映していくのか、そのプロセスを子どもたちにフィードバックし、透明性を確保することが重要です。「提言して終わり」にしない仕組みづくりが求められます。 特別区への示唆 江東区の事例は、子どもの意見表明の「プロセス」を制度化した先進的な取り組みです。提案内容(AI教育等)の具体性もさることながら、こうした参加の仕組みそのものが、他の特別区にとって重要なモデルとなります。 中野区、区内児童館の紹介動画を公開 概要 出典 中野区 公式サイト 9 ニュース概要 中野区は、区内にある児童館の魅力や活動の様子を紹介する動画を制作し、区の公式YouTubeチャンネルで公開しました。子育て世帯に児童館の利用を促すことを目的としています。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 児童館は子どもの健全育成や地域の子育て支援の拠点ですが、その存在や活動内容が十分に知られていない場合があります。施設の魅力を分かりやすく伝え、利用のハードルを下げ、利用率を向上させる必要があります。 具体的なアクション 施設の雰囲気や、子どもたちが実際に活動している様子などを動画で撮影・編集し、YouTubeやSNSなど、ターゲット層である子育て世代が日常的に利用するメディアで発信します。 行政側の意図 文章や写真だけでは伝わりにくい施設の「生きた」雰囲気を動画で伝えることで、潜在的な利用者の関心を引き、来館に繋げる狙いです。デジタルネイティブ世代の保護者に効果的にアプローチする意図もあります。 期待される効果 児童館の認知度が向上し、新規利用者の増加が期待されます。これにより、より多くの子どもたちに安全な遊び場や交流の機会を提供でき、地域の子育て支援機能の強化に繋がります。 課題・次のステップ 動画の再生回数や、公開後の来館者数の変化などを測定し、広報効果を検証することが重要です。また、定期的に内容を更新し、視聴者の関心を維持する努力も求められます。 特別区への示唆 公共施設の広報において、動画コンテンツは非常に有効なツールです。児童館だけでなく、図書館、スポーツ施設、区民会館など、様々な施設の魅力を伝えるために、動画の活用を全庁的に推進することは、住民の施設利用促進に繋がります。 福祉政策 杉並区、「すぎなみ福祉サーチ」運用開始と「合理的配慮ガイドブック」作成 概要 出典 杉並区 報道発表資料 27 ニュース概要 杉並区は、地域の福祉サービス情報を検索できるウェブサイト「すぎなみ福祉サーチ」の運用を開始するとともに、障害のある人への「合理的配慮」の提供方法を解説したガイドブックを作成・公表しました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 障害のある人が地域で安心して暮らすためには、必要なサービスに容易にアクセスできる環境と、社会全体の理解と配慮が不可欠です。情報提供の仕組みと、理解促進のためのツールを両輪で整備する必要があります。 具体的なアクション 「福祉サーチ」では、利用者が目的や地域から必要な福祉サービス事業所を検索できるようにします。「ガイドブック」では、事業者や区民向けに、障害者差別解消法が求める合理的配慮の考え方や具体例を分かりやすく解説します。 行政側の意図 「福祉サーチ」は、当事者が必要な情報を自ら探し出す「プル型」の支援であり、当事者のエンパワーメントを促します。一方、「ガイドブック」は、社会全体に理解と協力を求める「プッシュ型」の支援であり、共生社会の基盤を構築する狙いです。 期待される効果 当事者は必要なサービスを見つけやすくなり、事業者や区民は合理的配慮への理解を深め、具体的な行動に繋げやすくなります。これにより、地域全体の福祉力向上に繋がります。 課題・次のステップ 「福祉サーチ」は掲載情報の鮮度を保つための継続的な更新が、「ガイドブック」は内容を広く周知し、活用してもらうための広報活動がそれぞれ重要となります。 特別区への示唆 杉並区の取り組みは、障害者福祉において、当事者への直接的な支援(プル型)と、社会環境の整備(プッシュ型)を同時に進める戦略的なアプローチを示しています。各区の福祉政策においても、この両面からのアプローチがバランス良く行われているか、点検する視点が有効です。 健康、保健政策 目黒区、大塚製薬と健康づくりに関する包括連携協定を締結 概要 出典 目黒区 報道ニュース 15 ニュース概要 目黒区は7月18日、大塚製薬株式会社と区民の健康増進に関する包括連携協定を締結しました。熱中症対策、女性の健康、子どもの健康教育など多岐にわたる分野で連携を強化し、区民サービス向上を目指します。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 少子高齢化が進む中、区民の健康寿命の延伸は重要な政策課題です。行政だけのリソースでは限界があるため、健康に関する専門的な知見や製品、ノウハウを持つ民間企業と連携し、効果的な健康増進策を展開する必要があります。 具体的なアクション 熱中症対策講座の共催、スポーツイベントでの飲料提供、女性の健康に関するセミナー開催など、協定に基づき具体的な連携事業を実施します。区が設置した「公民連携プラットフォーム」も活用します。 行政側の意図 行政が抱える健康課題(イシュー)に対し、民間企業が持つ専門性や資源を解決策(ソリューション)として活用する狙いです。漠然とした協力関係ではなく、具体的なテーマを定めた連携により、成果志向の取り組みを目指します。 期待される効果 科学的根拠に基づいた質の高い健康情報やサービスを区民に提供できるようになります。これにより、区民の健康意識の向上と健康的な行動の促進が期待されます。 課題・次のステップ 特定の企業との連携が、他の事業者の公平な競争を阻害しないよう配慮が必要です。また、連携事業の成果を客観的に評価し、協定内容を定期的に見直していく仕組みが重要となります。 特別区への示唆 この協定は、自治体の健康政策が、啓発中心から具体的なソリューション提供へと進化していることを示す好例です。各区は、自区の健康課題を明確にし、その解決に貢献できる専門性を持つ企業との戦略的パートナーシップを構築することが有効です。 多文化共生政策 港区、パリ市15区との友好都市提携を記念しフランス料理給食を提供 概要 出典- 港区HP 31 ニュース概要 港区は、国際友好都市であるフランス・パリ市15区との提携を記念し、フランスのナショナルデーに合わせ、区立の全小中学校でフランス料理を取り入れた特別給食を提供しました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 グローバル化が進む中、子どもたちが多様な文化に触れ、国際感覚を身につけることは極めて重要です。「食」という身近なテーマを通じて、異文化への興味・関心を育み、国際理解教育を推進する必要があります。 具体的なアクション 友好都市の食文化をテーマにした献立を開発し、学校給食として提供します。食材や料理の背景などを紹介する資料を配布し、学びを深める工夫も行います。 行政側の意図 学校給食を単なる栄養摂取の機会としてだけでなく、生きた文化体験・国際交流の場として活用する狙いです。子どもたちの記憶に残る楽しい体験を通じて、友好都市への親近感を育むことを目指しています。 期待される効果 子どもたちの異文化への理解と関心が深まります。また、友好都市との交流事業が区民に広く認知され、自治体間の友好関係の深化にも繋がります。 課題・次のステップ 一回限りのイベントに終わらせず、他の友好都市の食文化を紹介したり、栄養教諭と大使館等が連携した食育プログラムを開発したりするなど、継続的な取り組みに繋げることが望まれます。 特別区への示唆 学校給食は、多文化共生や国際理解教育を推進するための非常に有効なツールです。多くの特別区が海外の都市と姉妹・友好提携を結んでおり、その関係性を活用した同様の取り組みは、費用対効果の高い教育プログラムとして展開可能です。 文化政策 荒川区、吉村昭記念文学館で戦後80年をテーマにしたトピック展示を開催 概要 出典 荒川区 報道発表 32 ニュース概要 荒川区立吉村昭記念文学館は、戦後80年と区の平和都市宣言30周年を記念し、作家・吉村昭の戦争に関する取材ノートなどを展示するトピック展示を7月18日から開始しました。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 戦争の記憶の風化が懸念される中、地域の歴史や文化資源を通じて、次世代に戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えることは、自治体の重要な役割です。特に、地域にゆかりのある人物の視点から語ることで、より身近な問題として捉えさせることができます。 具体的なアクション 区ゆかりの作家・吉村昭氏が戦争をテーマに執筆した作品の直筆取材ノートや、地域の空襲体験画などを展示します。作家の妻へのインタビュー映像も上映し、多角的にテーマに迫ります 32。 行政側の意図 区の文化施設が持つ独自の収蔵品(一次資料)という強みを活かし、普遍的なテーマである「平和」について考える場を提供する狙いです。これにより、文化施設が単なる資料展示の場ではなく、現代的課題を考える対話のプラットフォームとして機能することを目指します。 期待される効果 来館者が戦争の実相に触れ、平和について考える貴重な機会となります。また、地域の文化施設の役割や魅力が再認識され、地域への愛着(シビックプライド)の醸成にも繋がります。 課題・次のステップ 展示内容を学校の平和学習と連携させるなど、より多くの若い世代にメッセージが届くような工夫が求められます。 特別区への示唆 各区が持つ郷土資料館や文学館などの文化施設は、地域の歴史や人物という独自の切り口から、普遍的な社会課題にアプローチできるポテンシャルを持っています。こうした資源を活用し、現代的な意義を持つ企画展を実施することは、文化政策の価値を高める上で有効です。 まちづくり、インフラ整備政策 目黒区、木造住宅密集地域における公園整備を推進 概要 出典 目黒区 公式サイト 15 ニュース概要 目黒区は、木造住宅密集地域の防災性向上や住環境改善を目的に、複数の公園整備計画を推進しています。整備にあたっては、住民参加の検討会やアンケートを実施し、地域住民の意見を反映させています。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 木造住宅密集地域は、地震時の火災延焼リスクが高いなど、防災上の大きな課題を抱えています。公園を整備することは、延焼遮断帯や一時避難場所として機能し、地域の防災性を向上させるために不可欠です。 具体的なアクション 未利用地や老朽建築物の跡地などを活用して公園を計画的に整備します。計画段階からニュースレターの発行や検討会を開催し、地域住民と協働で公園の設計や利用ルールを検討します 33。 行政側の意図 公園整備を、単なる緑の創出(アメニティ向上)に留めず、「防災機能の強化」「コミュニティ形成の促進」といった複数の政策目的を同時に達成する事業として位置づける狙いです。 期待される効果 地域の防災性が向上するとともに、子どもたちの遊び場や住民の憩いの場が創出され、住環境の質が向上します。また、住民参加のプロセスを通じて、地域コミュニティの活性化も期待されます。 課題・次のステップ 用地取得が事業推進の鍵となります。また、完成した公園が地域住民に愛され、適切に維持管理されていくための仕組みづくりも重要です。 特別区への示唆 この事例は、インフラ整備を複数の戦略的価値を持つ事業として捉える「多機能型アプローチ」を示しています。一つの事業で防災、環境、コミュニティといった複数の課題解決に貢献することを示すのは、事業の正当性を高め、予算獲得や住民合意の形成において有効な手法です。 葛飾区、高砂地区まちづくり方針の意見募集を開始 概要 出典 葛飾区 公式サイト 35 ニュース概要 葛飾区は、京成高砂駅周辺の鉄道連続立体交差事業を契機とした「高砂地区まちづくり方針(仮称)」について、地域住民からの意見募集を開始しました。オープンハウスやアンケートを通じて、まちづくりの具体化を進めます。 政策立案への示唆 この取組を行政が行う理由 鉄道の立体交差化のような大規模なインフラ事業は、まちの姿を大きく変えるポテンシャルを持っています。この変化を地域にとって望ましいものにするため、事業と一体で、地域の将来像を描くまちづくりを住民と共に行う必要があります。 具体的なアクション 地域の協議会が中心となり、まちづくりの方針案を作成します。その案を基に、オープンハウス(説明会・展示会)や全戸配布のアンケートを実施し、広く住民の意見を収集します 35。 行政側の意図 大規模インフラ事業を、単なる土木工事ではなく、地域の価値を向上させる「まちづくりの好機」として捉える戦略的な姿勢です。住民参加のプロセスを通じて、計画への理解と協力を得て、円滑な事業推進を図る狙いもあります。 期待される効果 住民の意見が反映された、地域の実情に合ったまちづくり計画が策定されます。これにより、鉄道によって分断されていた地域の一体感が醸成され、駅前の活性化や住環境の向上が期待されます。 課題・次のステップ 多様な住民から幅広い意見を吸い上げ、それらをどのように計画に反映させていくか、合意形成のプロセスが重要となります。最終的に区の行政計画に反映させ、実効性を担保する必要があります。 特別区への示唆 大規模な再開発やインフラ更新は、多くの特別区が直面する課題です。葛飾区の事例は、こうした「大きな変化」のタイミングを、住民と共に地域の未来を構想する触媒として最大限に活用する、戦略的まちづくりのモデルを示しています。 #05 特別区(23区)#07 自治体経営#08 SDGs・環境#09 DX#10 総務#12 生活安全#14 子育て・こども#16 福祉#17 健康・保健#21 まちづくり・インフラ整備#91 取組#92 行政ニュース#99 その他 ABOUT ME 行政情報ポータルあらゆる行政情報を分野別に構造化行政情報ポータルは、「情報ストックの整理」「情報フローの整理」「実践的な情報発信」の3つのアクションにより、行政職員のロジック構築をサポートします。